※画像はイメージです/PIXTA

M&Aを行うと税金の支払いが発生します。スキーム(手法)ごとに異なる税金対策をみていきましょう。

事業譲渡における節税

事業の一部や全部を売却する事業譲渡では、どのような税金対策ができるのでしょうか?売り手は『繰越欠損金』を、買い手は『試算調整勘定』を活用できるため、それぞれ解説します。

繰越欠損金などにより法人税の負担が軽減

会社に『繰越欠損金』がある場合、事業譲渡で利益を得たとしても、法人税の負担を減らせます。課税対象の所得がマイナスになり欠損金が生じると、繰越期限内であれば課税所得から差し引けるからです。

 

事業譲渡によって大きな利益を得たとしても、繰越欠損金を差し引くことで課税対象となる所得を減らし、結果的に法人税額を抑えられます。

買い手は資産調整勘定を損金にできる

買い手が実施できる税金対策に『資産調整勘定』の活用があります。資産調整勘定を計上できるのは、事業譲渡により買い手が引き継いだ時価純資産を事業譲渡の対価が上回ったときです。

 

『事業譲渡の対価-引き継いだ時価純資産』で算出できる差額を、5年間かけて月割で均等に損金算入します。差額が1,800万円なら月30万円の試算調整勘定を5年間計上し続けます。

オーナー社長が事業譲渡で利益を得る場合

事業譲渡で得た利益をオーナー社長が受け取る方法は、『役員報酬』か『配当』の2種類です。役員報酬なら経費にできますが、配当は経費にならない点に注意しましょう。

オーナー社長への役員報酬は経費にできる

買い手から受け取る事業譲渡の対価は会社に支払われるものです。オーナー社長が受け取るには、役員報酬とするとよいでしょう。以下3種類のいずれかに該当する役員報酬なら、条件を満たすことで経費として扱えます。

 

・定期同額給与:毎月固定額で支払われる役員報酬

・事前確定届出給与:税務署へ届け出ている決められた時期に支払われる役員報酬

・業績連動給与:会社の業績に連動させて支払う役員報酬

 

ただし役員報酬が『過大』と判断されると、経費への算入はできません。

配当は経費にならない

利益を配当として受け取ることもできます。しかし配当は経費にならない点に注意しましょう。

 

加えて、配当から差し引かれる税金は、役員報酬として受け取った場合と変わりません。約20%の源泉徴収が行われ、地方税も課されます。同じ金額をオーナー社長へ支払うなら、経費になる役員報酬の方が節税に役立ちます。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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