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M&Aを行うと税金の支払いが発生します。スキーム(手法)ごとに異なる税金対策をみていきましょう。

会社分割でかかる税金と節税

M&Aを実施するときには、事前に会社分割をした方が税金対策に有利になるかもしれません。具体的にどのようなケースに向いているのか確認しましょう。

会社分割とは

会社分割は、別の会社に自社の所有する権利や義務を承継させる手続きです。この手法はM&A実施前の磨き上げに役立ちます。会社が持っているものの中には、買い手が欲しがらないものや、自社で引き続き保有したいものがあるでしょう。たとえば社長の社宅や自動車、家賃収入を得ている不動産などです。これらを選び会社分割で社外に出せば、後から買い戻す手間や費用を省けます。もとの会社には売却したいものだけを残せるため、株式譲渡によるM&Aも実施が可能です。

 

ただし不自然な会社分割は不合理と判断され否認される可能性があるため、専門家へ相談しましょう。

約20%の税負担で売却できる等のメリット

磨き上げを実施してから会社分割をする場合、株式譲渡で自社の売却ができます。採用する手法が株式譲渡であれば、利益に課される税金は約20%です。事業譲渡で得られる利益にかかる法人税は約30%のため、大幅に税額を抑えられます。

 

また会社分割を実施するにあたり、事業や従業員の引き継ぎなど一定の条件を満たし『適格分割型分割』とすれば、資産や負債を簿価で引き継ぎ、譲渡損益に対する課税は繰り延べられます。

 

そのため税金を負担することなく、買い手に不要な資産の移動が可能です。加えて資産を引き継いだ法人は対価として新株を発行すればよいため、資金を用意しなくても実行できます。

M&Aスキームの選択が税金対策では重要

M&Aを実施するにあたり、選択肢として複数のスキームがあります。税金対策を意識するなら、スキーム選びが重要です。売り手と買い手の状況次第で適切な手法は異なるため、状況に合わせて選びましょう。手法ごとに必要な税金対策が異なる点にも要注意です。株式譲渡なら役員報酬の活用が役立ち、事業譲渡では繰越欠損金や試算調整勘定を用います。

 

また買い手にとって不要な事業や資産がある場合には、適格分割型分割で不要なものを社外へ出した上で株式譲渡を行う方法も検討しましょう。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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