※画像はイメージです/PIXTA

M&Aを行うと税金の支払いが発生します。スキーム(手法)ごとに異なる税金対策をみていきましょう。

株式譲渡における節税

オーナー社長といった個人が株主の場合、株式譲渡所得には所得税をはじめとする約20%が課されると分かりました。この場合に税金の負担を軽減するには『役員退職金』を活用します。

役員退職金を活用することで税負担を軽減

株式譲渡を実施するとき、オーナー社長は株式を買い手に売却しその対価を受け取ります。このとき事前に会社から対価の一部として役員退職金を受け取っておくと、税金の負担額を抑えられます。

 

役員退職金を支払うことで会社の保有する現金が減り、株式価値の低下につながるからです。株式価値が下がれば譲渡価格を抑えられるため、株式譲渡所得の金額も減少し税負担を軽減できます。

 

◆役員退職金は所得税が優遇される

役員退職金の所得税に優遇措置があるのもポイントです。退職所得を計算する際には『(収入金額-退職所得控除)×1/2』もしくは、勤続5年以下なら『収入金額-退職所得控除』で計算できるため、課税対象となる金額を減らせます。

 

退職所得控除は以下に当てはめて計算しましょう。

 

勤続年数20年以下:40万円×勤続年数 (※80万円に満たない場合は80万円)

勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

 

たとえば勤続年数15年・退職金3,000万円であれば、課税される退職所得は『(3,000万円-600万円)×1/2=1,200万円』です。課税対象の金額が減る分、税金を抑えられます。

 

◆役員退職金の額は適正範囲内で

税金の負担を減らせるなら、対価を全て役員退職金で受け取りたいと考える人もいるでしょう。加えて『損金算入』の対象にもなっているため、買い手としてもできる限り多く設定したいと考えるはずです。

 

しかしそれでは、役員退職金の金額として適正範囲に収まらない可能性が出てきます。適正範囲を超えた金額の場合、損金不算入とされるケースもあるため、役員退職金の金額を上げ過ぎると税金対策の効果が薄れるかもしれません。適切な金額を設定し確実に損金とするには、専門家への相談がおすすめです。

買い手は準備金や役員退職金を損金にできる

役員退職金は損金算入の対象のため、買い手にとっても税金対策につながると分かりました。ほかに買い手が損金算入できる費用として『準備金』があります。準備金を損金算入するには、中小企業等経営強化法の『経営力向上計画』の認定を受けるのが条件です。認定を受ければ、買収価格の70%までの準備金を損金算入できます。

 

ただし初年度に損金とした準備金は、5年経過後に5年間かけて取り崩し、益金へ算入しなければならず、最終的な税負担は変わりません。M&A後のさまざまなリスクに備えられるよう、初期の負担を減らせる制度です。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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