日本はすでに乗り遅れている…世界企業戦略のトレンド「Well-being経営」とは?

日本はすでに乗り遅れている…世界企業戦略のトレンド「Well-being経営」とは?
(写真はイメージです/PIXTA)

ESG/SDGs時代、世界の企業戦略トレンドは「人材」を最重要視する「Well-being経営」です。すでに日本企業はこのトレンドに遅れをとっていると指摘されていますが、なぜなのでしょうか? これらの答えとともにWell-being経営推進のための具体策をみていきます。

トップ企業が行うべき「ソーシャル」な取り組み

笹原氏からは、健康と安全、人権はこれからのアメリカ政策の柱になっていくこと、機関投資家の注目が高まるポイントとして「デジタルを活用し横串に可視化する」という流れがあることが指摘されました。デジタルをうまく活用した見せ方でコミュニケーションをとっていく必要があるのです。

 

対象も、社会や最終消費者まで大きく広がっていく可能性もあります。 最終的には利他的な社会への流れは確実なものになっています。単にリターンが高いだけでは投資しなくなっているのです。さまざまな組み合わせのファンドや若い世代へのアプローチが不可欠です。

 

石川氏からは、ESG投資のうちの「S」、ソーシャルな視点での活動が重要であると指摘されました。 E(環境)とG(ガバナンス)はこれまでにも意識され、具体的な取り組みもなされてきていますが、S(ソーシャル)は範囲が広く、具体化しづらいテーマでした。

 

いまは、SDGsが学校教育に組み込まれるようになっています。子どもたちの意識はすでに社会へ、また持続可能な未来へとシフトしています。2030年を見据えたとき、責任ある経営とはなんなのか。包括的な行動が求められているといえます。

 

調査では「日本ではデジタル投資が少ない」という指摘もあります。外資系の企業は、日本に入ってくると地域との連携を重視します。外から移転してくるわけですから、なぜその地域に移ろうとしているのか、企業が地域とどのように関わろうとしているのかを明確にしなければなりません。 また地域の人材の奪い合いも起きます。できるだけ早くアピールが必要になるわけです。

 

このため、企業は地域の特性に着目し、自社の事業のみならず、医療福祉や金融、大学などの研究機関もかけあわせて社会課題のマッシュアップを企てます。企業が地域と他機関をつなぎ「掛け算」を起こすとき、重要な役割を果たすのがデジタルです。デジタル投資は、地域の特性を活かし新たなカルチャーを展開するための重要戦略といえます。社会課題にデジタル環境をセットし、地域に成功モデルをつくって全国に広める企業戦略の流れは、今後一気に加速していくでしょう。

 

Well-being経営を推進するには?

最後に、これからのWell-being経営ではどこに力点をおくとよいのかについても掘り下げていきます。Well-being経営の推進には、現場で少しずつ始める方向と、全体像を描いて大きく始める方向とがありますが、経営戦略としては全体像を描いたうえでWell-beingを推進する必要があります。

 

たとえば、報告書を作成する段階で言語化が進み、中長期的な戦略にWell-beingを軸に据えると企業としてなにができるかが見えてきます。企業の経営戦略にWell-beingを取り入れる場合、この流れが動きやすいといえます。

 

経営戦略と人事戦略を一致させるという動きはなかなか起きませんから、ガバナンスコードに入れてしまうというのが大事です。政策のような「外圧」が高まる機に乗じる手もあります。ISOのガイドラインや伊藤レポート人材版などはその典型。経営の核として利用し、トップダウンで推し進めるのが効果的な展開のポイントになります。

 

一方で、企業側からの声を行政へ上げていくことも重要で、国が動きやすくなります。互いの取り組みが相乗効果になるよう、機をよくみて動きたいところです。

 

オーケストラに例えると、弦楽器、管楽器、打楽器とそれぞれのパートで音を出していても全体の調和がないと曲は完成しません。音合わせで指揮者が音楽の方向性を示し、ひとつにあわせていくことでハーモニーになっていきます。Well-beingで音合わせを行うのは経営者です。こまかいパートで楽譜あわせするのはそれぞれの部署に任せ、大きな方向性をトップダウンで示していきたいところです。

 

 

矢嶋 収

株式会社WellGo 営業戦略部

マーケティング責任者 兼 セールス

 

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本記事は株式会社WellGoの記事より一部を抜粋・再編集したものです。

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