コロナ禍以後の「理想のチーム」とは
企業経営は「戦術」よりも「戦略」が重要
これからの企業経営で鍵となるのは、社員が肉体的にも精神的にも個人として満たされる働き方のできる場づくりと、急変するデジタル化の波に対応し人材の価値創造を促すチーム戦略です。
「チームになるための戦略」とはどのようなものかを考える前に、そもそも「チームとはなにか」について考えを揃えておきましょう。ここで注目するのは関係性です。職場で重要なのは上司と部下のタテの関係ですが、このつながりだけではチームとはいえません。ヨコのつながりが必要です。つまり、メンバー同士の関係性も深まってはじめてチームと呼べるようになるのです。
もうひとつ、「戦略とはなにか」についても明確にしておきましょう。戦略とは大きな方向性です。成功に導くため、チームのなにに重きを置いて進むのか。重心、いわゆるツボを突くわけです。
戦略と似て非なる言葉に戦術があります。戦術はどうやってツボを突くかのノウハウを指します。企業経営について考える際によく話されるのは戦術のほうで、どのように運営していくかの話は多いのですが、実は重要なのは戦略。どこに重点を置くかの方針が明確でないとうまく進んでいきません。
チーム戦略は、メンバーの関係性についてどこに重心を置くかが肝だといえます。具体的には、どのようなポイントを押さえていくとよいのでしょうか。
「機能体型」チームが好まれる欧米、「共同体型」チームが好まれる日本
チーム構造を関係性の違いからみると、大きく「機能体」と「共同体」にわかれます。
機能体は、個をひとつの機能として扱い、タスクに最適な配置をすることでプロジェクトを回していきます。いわゆるジョブ型です。メンバーは組み換えのきくひとつの機能ですから個性は必要なし。個別のつながりは重視されません。共同体はその逆で、個の特性やつながりを重視するメンバーシップ型です。メンバー同士の関係性に大きく依存し、つながりの力で発揮される力も成果の方向性も異なります。
一般的に欧米では機能体が好まれる傾向にあり、日本では共同体が重視されやすいといわれています。しかし、組織として機能体と共同体のどちらを採用すればいいかという話ではありません。
チームの目指す方向に応じて「機能体」・「共同体」のバランスをとる
チームの目指す方向により重点を移動させ、バランスをとっていく必要があるのです。
機能体のほうへ重心を傾けたチームにするときは、プロジェクトマネジメントをしっかりさせる必要があります。個人の特性によって成果が異なるような属人化が起きるとタスクは回りません。個別の力を伸ばすより全体最適が優先されます。一方、共同体のほうへ重心を傾けると、極端な場合はカリスマ的な人への求心力でチームが動きます。典型的なのが宗教団体。教祖・経典・教団が揃うと宗教ができあがってしまいます。
機能体と共同体のバランスをどの程度にするかは、業務の部署やフェーズによって求められる重点パターンが異なります。