この人はなんとなく嫌い!「価値観が合わない人」とうまくつき合う方法はあるのか Image Credit: ©AnimeJapan 2022

価値観が合わない、波長が合わなければ、物事に対する感じ方に違いが出てきてしまい、お互い険悪なムードになってしまうことが多くなります。経営コンサルタントの井口嘉則氏が著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

「礼儀を重んじる」日本人の価値観

■価値観とは

 

価値観とは、人や組織が大切にしているものやことで、例えば、個人の場合ですと、物を大切に扱いなさいとか、弱い者いじめをしてはいけないとか、他人に迷惑を掛けないようにとか、みんなで仲良く等があります。

 

価値観は、人によって違う面もありますが、個人レベルの価値観、家族の価値観、コミュニティ・地域社会の価値観、会社・組織の価値観、国レベル・国民の価値観等それぞれのレベルによって価値観を共有する範囲、内容が異なります。

 

一般的には、個人レベルと会社・組織レベル、国民レベルの価値観がその差が一番大きく、違いが分かりやすいですね。

 

若い頃、結婚してみて食事や生活の価値観というか常識の違いに驚かされましたし、会社を変わって社風の違いに驚かされましたし、外国に行って、言語の違い以上に考え方や価値観・常識の違いに驚かされました。

 

このように、私たちは、基本自分を基準に判断しているので、考え方や価値観の違う人と生活したり、仕事をしたりすると、その違いに驚きますが、結局話し合いや相談を行って、折り合いを付けていくしかなくなります。

 

■日本人が大切にしている価値観

 

読者の皆さんにあえて日本人の価値観を説明するまでもないとは思いますが、客観的に捉えておくことも必要でしょうから、簡単にレビューしておきましょう。

 

一般に日本人の場合だと、礼儀を重んじます。相手に対して失礼なことをしてはいけないということで、これは非常に古くから維持されてきた価値観です。例えば、卑弥呼の時代に書かれた「魏志倭人伝」によると、倭(わ)国の人々(日本人)は、礼儀を重んじ、年長者を敬っていると書かれていて、2000年ほども前から日本人は礼儀を重んじていたことが分かります。

 

その礼儀の一つに、上下の関係を明らかにするということがあり、そのために敬語が使われます。ですから社会人になって敬語の使い方を間違えると、「あいつは礼儀を知らないやつだ」とか「敬語の使い方がなっていない」等と言われるのです。これらは、文化的な側面からの日本人の価値観といえます。

 

法律面で見ると、戦後の日本では、戦前の反省から、日本国憲法が新たに制定され、「基本的人権の尊重」「国民主権」「平和主義」が三大原則になりました。基本的人権の尊重は、平等権・自由権・社会権・参政権・請求権等からなりますが、例えば平等権でいうと「全ての国民は差別されずに平等である」という考え方を取っています。ですから性別や職業等で差別されてはいけないというのが、重要な価値観となっています。

 

国レベルでいうと、まず憲法が基本にあるのですが、企業でいうと、大切にしている価値観は、企業理念や経営理念に表現されているということになります。古い会社では、社是社訓などという言葉も使われているケースがあります。言葉は違いますが、指しているものは同じです。

 

例えば、パナソニックでは、創業者の松下幸之助が制定した「綱領」というものがあり、現在でもそれが受け継がれています。その綱領には、

 

「産業人たるの本分に徹し
社会生活の改善と向上を図り
世界文化の進展に寄与せんことを期す」

 

とあります。

 

少し古い表現ですので、現代風に解釈すると「ビジネスマンは本来行わなければならない仕事に集中し、世の中の人々の生活を改善、向上できるよう、また、世界の文化が発展していくことに貢献できるように心に誓います。」ということでしょうか。

 

他の企業でも、各社各様の企業理念があります。古い会社の場合、パナソニックのように創業者の言葉がそのまま引き継がれているようなケースもあります。有名な近江商人の「三方よし」(買い手よし、売り手よし、世間よし)というのは、江戸時代から続く近江商人の商売における基本的な価値観を表しているわけですね。

 

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    株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
    オフィス井口 代表

    岐阜県出身。東京大学文学部社会学科卒業、シカゴ大学MBA。

    日産自動車にて情報システム部門、海外企画部門を経験、中期計画・事業計画を担当。三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)にて、中堅~大企業向けに中計策定支援をはじめ、数多くの経営コンサルティング案件を手がける。その後、IT系などのコンサルティング会社を経て、2008年にオフィス井口設立。2009年から株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット代表取締役。

    2010年代には中央大学ビジネススクール客員教授、立教大学経営学部講師、対外経済貿易大学客員教授(中国・北京)等も務める。

    クライアント企業の新規事業企画コンサル、中期経営計画策定やワークショップ方式の企業研修講師を多く務める。「研修程度の費用でコンサル以上の成果を」が売り。研修・講師実績多数。研修・セミナー等は年間100回程度のペースで実施(Zoom等を使ったオンラインセミナーや研修も実施している)。

    【主な著書】
    『マンガでやさしくわかる中期経営計画の立て方・使い方』(2019年)
    『マンガでやさしくわかる経営企画の仕事』(2018年)
    『マンガでやさしくわかる事業計画書』(2013年)
    『ゼロからわかる事業計画書の作り方』(2009年)
    (以上、日本能率協会マネジメントセンター)

    『これならわかるマンガで入門!新規事業のはじめ方』(ダイヤモンド社、2015年)
    『中期経営計画の立て方・使い方』(かんき出版、2008年)
    『経営戦略のフレームワークがわかる』(産業能率大学出版部、2011年) ほか

    著者紹介

    連載なぜあの人の言葉は刺さるのか?「話し方」と「語り方」の違い

    ※本連載は井口嘉則氏の著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再構成したものです。

    リーダーのための人を動かす語り方

    リーダーのための人を動かす語り方

    井口 嘉則

    日本能率協会マネジメントセンター

    最近、リーダー職や管理職になって悩む方を多く見かけます。「どうやったら部下に分かってもらえるんだろう?」「なぜ言うことを聞いてもらえないんだろう?」という悩みを打ち明けられます。 考え方は人それぞれで、考え方が…

    事業計画書の作り方100の法則

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