※画像はイメージです/PIXTA

新選組の土方歳三とホンダの藤沢武夫は、どちらも「ナンバー2」として陰から組織を支えました。本記事では、2人の振る舞いからトップとなる経営者を成功に導く共通点とはなにか考察していきます。

トップと約束したことは必ずやり遂げる

ここで、視点を変えてみましょう。ダメなナンバー2の共通点はなんだと思いますか。組織において「副」と付く職に就いたことがある人ならわかるでしょうか。ダメなナンバー2は自らの権限や責任を、都合よく出し入れする人です。トップのせいにして部下を味方につけトップを攻撃したり、反対に、トップになびいて部下に責任を押し付けたりする人間です。こういうナンバー2がいる組織はうまくいきません。

 

頼りになるナンバー2の存在は、組織においては必要不可欠です。新選組もホンダも、土方や藤沢がいなければ組織としての成長は乏しいものだったでしょう。

 

トップは組織の将来の利益の最大化を見据え、全体最適された判断をしなければいけません。ですから、常に冷静でいられる距離を組織に対して持つことが必要です。その際にも、ナンバー2の存在は大きく機能します。

 

たとえば、藤沢が組織の転機と語っているのは本田が一技術者から社長としての意思決定ができるようになった瞬間だといっています。それは、空冷式エンジンにこだわる本田が、水冷式エンジンの開発に踏み切る判断をしたときです。結果、その判断がホンダを確固たる世界企業へと変貌させました。藤沢という存在が本田の目線を経営者のそれに変えたのです。

 

トップとして、ナンバー2を選ぶ条件があるとすれば1つは気が合うことでしょう。仕事上での気が合うというのは、様々な要素があるなか、客観的、定量的なのものは、約束を守って結果を出してきた事実の数です。これが最も重要でしょう。

 

土方と藤沢にはこの力がある点も共通しています。2人とも、約束したら必ずやり遂げる力の強さを持っていました。「この人の目的を達成させるために自分が礎になる」という思いの源泉は、人間関係や直感に帰するところは大きいでしょう。しかし、その思いが強くなるには、お互い約束を果たしてきた回数の積み重ねが必要です。

 

土方は、近藤の目的を果たすためには手段を択ばず、謀略を駆使してまで敵を排除し続けました。近藤の政敵芹沢鴨を暗殺する際や、拮抗した勢力を持った伊東甲子太郎を殺した際にも、泥酔させてからだまし討ちをし、確実に殺害するという念の入れようです。

 

藤沢も、「本田のいうとおりにやれば絶対売れた」と技術においては本田に絶対的信頼を寄せ、商品を市場で売ることに集中して、それを全うしてきました。それによって2人の信頼関係はどんどん強まっていったのでしょう。

 

創業数年を除いては、「ほとんど顔を合わせることはないし、あまり喋らない、それだからマスコミは不仲説を書いてきたがそんなものじゃない。顔を見ずともお互いのことはわかるんだ」という発言を藤沢はしています。

※藤澤武夫『経営に終わりはない』(春秋文庫 1998)

 

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