(※写真はイメージです/PIXTA)

骨肉の争いの代名詞と言っていい相続トラブル…。そんなつもりはなくても、勝手に話をまとめようものなら、後々、揉めることは必至でしょう。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、認知症だった被相続人からの遺産分割トラブルについて、大隅愛友弁護士に解説していただきました。

姉妹間の相続トラブル。取り分を巡り大揉め

相談者のTさんは、父親から遺産を相続しました。相続人は、Tさんとその母親、そして妹の3人。

 

被相続人である父親は、軽い認知症を患っており、亡くなる2年前に要介護1の認定を受けていました。

 

父親は亡くなる2年前に、Tさんと母親と相談の上で、暦年贈与(Tさんと妹)、教育資金贈与(妹の家族には対象者なし、Tさんの子供3人のみ2,000万円)、生命保険(Tさんと妹に各500万円)の契約手続きを、信託銀行を介して行いました。

 

教育資金贈与は契約時点で、暦年贈与は毎年、生命保険は父親の死亡2ヵ月後にそれぞれが受け取りました。

 

父が亡くなった後、遺産分割の話し合いをしようとしたところ、妹が「父は認知症で判断能力がなかったのに、Tさんが勝手に贈与や保険の契約をして遺産を操作した」と不満を口にし、遺産分割協議ができなくなりました。

 

調停を起こされたため、Tさんは、調停の場で考えを説明しましたが、妹側には弁護士がついて「教育資金の贈与分について妹は納得がいかない。訴訟を起こす」といわれ、結局、調停は決裂しました。

 

仮に訴訟になった場合、争点は金額の多い教育資金贈与時に父親が有効な契約ができない状態(意思能力を失っていた)かであり、妹側はそこを主張してくるのだろうと、Tさんは考えています。

 

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の3点について相談しました。

 

1.妹は自分も暦年贈与、生命保険を受け取っているにもかかわらず、父が認知症で意思能力がなかったなどという主張はそもそも可能なのか。

2.訴訟なら、争点はやはり、契約時の父親の意思能力の有無になるのか。見通しはどうか。

3.契約後に認知症が重くなっていった事情(亡くなる直前は要介護4)は契約の法的効力に影響するのか。

争点は契約時における父親の意思能力の有無

Tさんのご相談のように、亡くなられた方の生前の贈与の有効性や預貯金の引出金の使い方、遺言の有効性などについて、相続をめぐる争いが増加しています。

 

亡くなられた方の財産の管理能力(意思能力や遺言能力)の問題は、相続発生後に発覚し、その金額も何百万円、何千万円と多額に上るという特徴があります。

 

それにもかかわらず、十分な説明がなかったり、証拠もはっきりしないため、話し合いでは解決ができず、裁判になることが少なくありません。

 

解決までに何年も時間と労力を奪われたり、それまで仲の良かった兄弟姉妹が相続争いで絶縁状態となってしまうこともあります。

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