(※写真はイメージです/PIXTA)

W不倫。その代償は決して小さくありません。互いに離婚して一緒になるのか、共に反省してやり直すのか、どちらかは離別して一方はやり直すのか…。いくつかのパターンが考えられるだけに、一方だけで最善の落とし所を見極めるのはなかなか困難です。実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、W不倫で考えられる、より良い決着について北條将人弁護士に解説していただきました。

「不貞回数3回」の代償の妥当額

相談者のやませさん(仮名)は、W不倫をしていたことが不倫相手の配偶者にバレて、相手の配偶者から慰謝料請求されました。

 

やませさんの配偶者も、不倫の事実を知っています。

 

不倫相手は別居中で、4人による和解は難しい状況。相手側からの提示額は、300万円だったそうです。

 

この金額が妥当かどうか、やませさんは無料の法律相談をしました。

 

それによると交際期間3ヵ月、不貞行為が3回ほどということで「上限50万円ほど」といわれたといいます。

 

あくまで参考とはいえ、結果を受け、やませさんの配偶者は「50万円ほどの慰謝料請求ならこちらから慰謝料をとるにも弁護士費用等もかかるので、最悪の場合マイナスになる可能性もある。それならあまりかかわりたくない」と言いました。

 

いまのところ慰謝料は請求せずに、やませさんとのやり直しを目指す方向で落ち着きつつあるとのことです。

 

そのうえで、やませさんはココナラ法律相談「法律Q&A」に次の3点について相談しました。

 

(1)慰謝料の上限50万円は、状況を鑑みて本当に妥当な額なのか。

 

(2)やり直す前提で、慰謝料を最小限にする落とし所はどんな方法が考えられるのか。

 

(3)相手側が離婚する場合、そうでない場合で展開にどんな違いが生じそうか。

不貞行為の期間と回数が基準?

「不倫は文化」、そう言った有名人がいるようです。確かに既婚者との道ならぬ恋は古今東西の文芸・芸術作品のテーマとなっています。私を含めロック好きの方には、エリック・クラプトンの名曲「いとしのレイラ」は彼が親友ジョージ・ハリソンの妻パティに横恋慕した苦悩を歌ったものということはよくご存じかと思います。

 

ですが人格者なのか、変人なのかは分かりませんが、ジョージの方は苦悩しなかったようで、離婚後にエリックとパティの結婚式にも参列し、その後ジョージとエリックの友情関係も変わりませんでした。

 

しかしそのような円満解決(?)の事例はまれで、不倫、しかもW不倫は泥沼の争いとなることが多いです。

 

不貞行為の慰謝料の内容は夫婦の貞操義務の違反、あるいは円満な婚姻関係を壊されたことによる精神的損害ということになります。いわば「心の傷」ですので本来金銭的評価は難しいものです。

 

ただ、慰謝料ということになればお金に換算しなければならないので、裁判上では、婚姻期間の長さ、未成熟の子の有無、不貞行為の期間、不貞行為によって夫婦関係が破壊された(離婚に至った)か否か等の諸事情を総合的に考慮して慰謝料を算定しています。

 

このあたりは最終的に裁判官の匙加減なので、慰謝料としていくらになるのか、事前に判断するのが難しいところがあります。

 

本件のやませさんの事例では、不貞行為の期間と回数が分かっているだけで、不貞行為の態様、やませさんの不倫相手の方に子どもがいるか、その夫婦の婚姻期間、離婚するのか否か等の事情が分からないので、妥当な金額については判断しかねるところがあります。

 

あえて言うのであれば、私自身が手掛けた不貞慰謝料事案の経験でのお話ですが、不貞行為の期間、回数はともかく50万円程度で解決した事例はさほど多くなく、100万円前後から200万円程度で妥結した事例が多いと感じています。

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