仕事が早く優秀なビジネスマンのなかには、部下や同僚の質問、相談に対して「あとは俺が(私が)やっておくから」と仕事を引き継ぐ人がいます。大学野球日本代表も経験した異色の経営コンサルタントである中田仁之氏は、このような人がはらむ「組織をダメにする可能性」について指摘します。周囲からは「頼りになる上司・同僚」というイメージを持たれることも多いタイプですが、なにがダメなのか、みていきましょう。
部下のパフォーマンスを最大化させる任せ方
私は主に上場企業を対象に販売促進やブランディングのサポートを、中小企業や個人事業主には売上拡大や組織力アップのサポートをしています。さらに「共感力」をベースにしたセミナーや連続講座、合宿研修なども運営しています。
私の会社は私ひとりですので、これらの事業をすべて1人で行うことは到底できません。ですので、たくさんの仲間とチームを組んで、クライアントの課題やニーズに合わせてチームを編成し、仕事を任せ、対応しています。
任せるということは「自分の責任のもとで、相手に委ねること」であると私は考えます。
私がチームとして取り組む仕事の中で「消費者キャンペーンの企画運営」というものがあります。『P』という商品を販売するために、購入者を対象に抽選でプレゼントを用意する、というものです。
キャンペーンを企画する際には、メインとなる購買者層の選定、購買者の心に響くプレゼントの手配、デザイン、キャッチコピーなど制作業務、事務局の運営など多くのスタッフの力が必要です。
もし万が一何か問題が発生した場合、すべての責任はプロデューサーである私にあります。ですので、自分の責任のもとで仲間に委ねています。
クライアントの求めるクリエイティブの質やレベルも私が熟知していますので、新しくチームに関わる仲間には、事前に何度も打ち合わせを重ねて完全に伝わったと私が感じるまで伝えます。そして、チームミーティングによって責任範囲を明確にし、それぞれの守備範囲を決めます。
ここまではイメージできると思います。大事なことはここから、任せた後です。
任せた以上、何も手出しをしない方が良いという方もいますが、それは任せたのではなく、責任と一緒に相手を放任することだと私は考えます。
任せた相手が期待通りに最大限のパフォーマンスを発揮できるように、そばにいてサポートするという姿勢が必要です。
部下に対して仕事を任せるのが苦手なリーダーの話です。
株式会社S.K.Y.代表取締役/中小企業診断士
株式会社A.B.United代表取締役
内閣府「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」会員
2025大阪・関西万博共創パートナー
1969年大阪生まれ。
幼少期より野球一筋、関西大学在学時には体育会準硬式野球部に所属、大学選抜メンバーに選出され海外遠征を経験。「JAPAN」のユニフォームに袖を通し、海外で君が代を歌うという経験を持つ。
卒業後、大日本印刷株式会社に入社、コンサルティング営業として20年間活躍後、2012年2月に株式会社S.K.Y.を設立。
「大好きな人に本気の応援を提供する」という企業理念を掲げ、上場企業から個人事業主まで幅広い顧客層を持つ。主な事業は販売促進に関するプロデュース業及び営業力強化・人材育成等のコンサルティング、さらに経営者やリーダー向けのビジネス講座を東京・大阪で主宰、企業からの講演依頼やリーダー育成プロジェクトの開発などの依頼が殺到している。
2020年5月、アスリートのネクストキャリアを支援する「日本営業大学(現Athletes Business United®︎)」という日本初のアスリートに特化した教育機関を設立、元プロ野球選手やJリーガーほかさまざまな競技に取り組む現役選手や引退した元アスリートから大学生まで、のべ300名のアスリートに対しビジネス教育を提供。就職や起業、地方創生や就農など1人ひとりに合ったネクストキャリアをプロデュースしている。
主な著書に、『困った部下が最高の戦力に化けるすごい共感マネジメント』(2018年株式会社ユサブル)。発売直後に重版となりロングセラーに。台湾、中国でも翻訳・出版された。
著者プロフィール詳細
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