(※写真はイメージです/PIXTA)

新しい人間関係は高齢になっても生まれます。友達でなくてもいいのです。その場その場で知らない人とでも言葉を交わすことが大事です。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)で解説します。

高齢者の自殺率は年々下がっているが

■さびしさを認めて、楽しく暮らす

 

高齢のひとり暮らしは、不幸せでさびしいという印象がありますが、ひとりのほうが好きに暮らせるという利点があります。

 

両親のどちらかが亡くなって、親がひとりになったからと遠くにいる子どもが親を引き取るというケースがあります。60代で新しい土地に移住すると、その土地に慣れて地域で楽しく暮らす方も多いのですが、70代、80代と年齢が高くなっていくと新しい土地に馴染むのが難しくなっていきます。新しい人間関係を築く気力、体力がわいてこないのが普通の状態です。

 

長年いた土地なら、知り合いが声を掛けてくれたり、地域の集まりに出かけて昔話に花を咲かせたりできたでしょうが、新しい土地ではそうはいきません。そのために家にひきこもりがちになるのは当然でしょう。

 

高齢者の自殺率は年々下がっています。これは、高齢者がひとりでも在宅で生活できる介護保険などの取り組みの成果もあると思います。

 

というのも、高齢者の自殺率と聞くと、ひとり暮らしのさびしい人が自殺するという先入観がありますが、高齢者の自殺はひとり暮らしより家族と同居している人のほうが多いのです。

 

家族と暮らしていると遠慮して部屋に閉じこもり、食事も別々、ときには陰で嫌味を言われたりする……そんな毎日が続けば孤独感はつのりますね。

 

また、人に迷惑をかけたくないと思い込んでいる人は、家族に介護をさせるなんてできないと死を選びます。とんでもないことですが、高齢になってめでたいことなのに死を選ぶ方がいるのです。

 

私は、老齢期に子どもと同居することには反対です。仲のよい友達と暮らすというのもやめたほうがいいと思います。子ども家族のそばにいたほうが安心だと考えるなら、スープの冷めない距離のところにアパートを借りるのがいいでしょう。それもできたら60代のうちに、です。

 

和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

↓コチラも読まれています 

「意欲の低下」は気持ちの問題でも年のせいでもないという理由

70歳でも若さを持続できる人と一気に衰える人の決定的な違い

若返るのではなく「死なない」だけ…「人生100年時代」の悲愴

寿命が伸び続けても「脳の老化は止められない」という怖い現実

弟の東大現役合格で確信!「受験は才能ではなくて要領である」

本連載は和田秀樹氏の著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

和田 秀樹

廣済堂出版

70代は人生の下り坂に差し掛かった時期。一気に滑り台のようにおりていくか、鼻歌でも歌いながら気長におりていくか……。80代、90代を迎える大事な時間である70代をいかに過ごすべきか。30年以上にわたり高齢者医療に携わって…

アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉

アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉

和田 秀樹

大和書房

親の言葉かけが、子どもを東大へ行かせます。 罰しても子どもは勉強しません。なぜなら自分に価値があると思うときに子どもは勇気を持てるからです。アドラーは親子関係を対等なものと考え、子どもが人生の課題に取り組み、乗…

東大医学部

東大医学部

和田 秀樹 鳥集 徹

ブックマン社

灘高→東大理Ⅲ→東大医学部卒。それは、日本の偏差値トップの子どもだけが許された、誰もがうらやむ超・エリートコースである。しかし、東大医学部卒の医師が、名医や素晴らしい研究者となり、成功した人生を歩むとは限らない…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧