遺産分割で揉め、家族の関係が壊れてしまった
【事案の概要】
・母が5年前に亡くなっているが、その際、母の財産(貯金500万円程度)はすべて父が相続した。
・被相続人は父。数年前から軽い認知症となっており、長男の妻が介護していた。
・相続人は長男(45歳)、長女(42歳)、次男(39歳)の3人。
・相続財産は土地(評価額3000万円)、建物(評価額は1500万円で父と長男が半分ずつ共有)、現金・株式・その他金融資産(1000万円分)。
・遺言書はない。
・長男は妻、子2人(16歳、15歳)とともに父と同居していた。実家から独立したことはない。
・長女は夫、子(7歳)とともに自身の持ち家に居住中。
・次男は大学時代に下宿、そのまま独立し現在は妻、子(10歳)とともに賃貸住宅に居住中。
父親が他界し、相続に関わる手続きを長男が仕切ることになりました。相続財産はすべてを合計しても4750万円程度、心配していた相続税も基礎控除の枠内であることが分かり安心していました。
そこで、長女、次男とともに遺産分割について話し合うことになりました。その際長男の提案した分割案は以下の通りです。
・自宅の土地と建物は長男が相続する。
・現金・株式・その他金融資産は長男100万円、長女と次男は450万円ずつ。
長男にとって自宅は、生まれたときからずっと住んでいる家で、「自分の家」という気持ちもあり、相続財産であるとは深く考えていませんでした。
とはいえ、バランスを考え、金融資産については自分の相続分を少なくして、残りの長女と次男の相続分を多くすると、配慮したつもりでした。
しかし、遺産分割の話し合いにおいて、次のような意見が出てきて話し合いがまとまりませんでした。