(※写真はイメージです/PIXTA)

すぐに賃料が得られる、初期費用が抑えられるといったメリットの多い「オーナーチェンジ物件」ですが、すでに入居者がいるという特性上、どうしてもトラブルが起こりやすいと、山村法律事務所の代表弁護士、山村暢彦氏はいいます。そこで今回、「オーナーチェンジ物件」ならではのトラブルとその予防・対処法について、不動産と相続を専門に取り扱う山村弁護士が解説します。

「オーナーチェンジ物件」売買の特殊性とは

収益物件としては、よくある取引ですが、オーナーチェンジ物件売買には独特の特殊性が少なくとも2点あるといえます。

 

1つ目は、入居者が居住している状態で建物を売買するので、居室のなか、建物の老朽化具合を確認できない、という点です。

 

2つ目は、入居者が賃貸借契約のもと居住しているため、その賃貸借契約上の地位を引き継ぐという特殊性です。

 

いずれもすでに入居者がついた状態であり、賃料収入が確保できている反面生じてしまうリスク、特殊性といえるでしょう。

 

トラブル事例①…柱が撤去されていた

ここからは、オーナーチェンジ物件特有のトラブル事例を解説していきます。まずは、居室内を確認できなかったことから生じたケースです。

 

収益物件はオーナーチェンジを繰り返すことも珍しくはありません。仮に、最初にその建物を建てたオーナーから物件を譲り受ける場合には、その建物建築時の設計書類等を預かることで、比較的建物の内容を正確に把握できることができるでしょう。

 

他方、オーナーチェンジを繰り返している物件は、当初の建築資料も残っておらず、賃貸借契約書や簡単な図面しか残っていないようなケースも多々あります。

 

トラブルが起きた物件は、かなり古く、オーナーチェンジを繰り返していた物件でした。

 

購入後2年を経て、長期間生活していた方が退去したので居室内を確認したところ、前オーナーから引き継いだ図面と比べると、構造上大事な柱が撤去されていたことが判明しました。

 

その時点で、弁護士へとご相談いただくことになったのですが、もともと古い木造家屋ということもあり、契約不適合(当時は「瑕疵担保責任」)を免責する特約もありました。

 

また、前オーナーも、前々オーナーから物件を譲り受けていた関係もあり、前オーナーが「柱の撤去」に関して「知っていた(=悪意)」といえるかも定かではない、むしろ知っていた可能性が低いといえる状態でした。そのため、残念ながら、建物構造がダメージを受けるような柱の撤去があった物件にもかかわらず、前オーナーへの法的責任追及は断念することとなりました。

 

前オーナーに対して賠償請求ができなかった点だけをみると、残念な結果に思えます。ただ、ご相談いただいた時点で連携している建築瑕疵専門の建築士の方に診断してもらうことにより、倒壊可能性が高く、非常に危険な物件であることが早期に判明しました。

 

なにも知らずに賃貸に出し続けていると、最悪アパートが倒壊し、賃借人の方に怪我をさせるといった大惨事に発展していた可能性もありました。そういう意味では、早期に危険性を認識して建て替え計画へとシフトできたのは、非常にいい結果になったのではないかと思います。

 

このように、「居室内部の状況が確認できない」というのはオーナーチェンジ物件特有のリスクといえるでしょう。今回のように「柱が撤去されている」というほどのことは多くはないにせよ、床板が腐食している、使い方が悪くカビだらけである、想像以上に居室内部が傷んでいる……といったケースは多く、オーナーチェンジ物件売買を行う際には特有のリスクだと覚悟して取引に臨む必要があるでしょう。

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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