(※写真はイメージです/PIXTA)

所得税、相続税の増税など、富裕層にとって受難の時代が続いています。こうしたなか、資産防衛の1つとして、国内の中古アパートを活用した短期減価償却資産が注目されています。今回、中古アパートオーナーが知っておくべき「税金対策」について、税理士の宮路幸人氏が詳しく解説します。

減価償却は不動産取得の必要経費

まず、所得税の不動産所得は「不動産収入-必要経費=不動産所得」で計算します。不動産収入は家賃収入・礼金・更新料など、必要経費は建物などの減価償却費、固定資産税、火災保険料、修繕費などです。

 

このように、建物の減価償却費は不動産所得の必要経費であるため、アパート経営者として減価償却の仕組みを知っておくことは重要です。

 

そこで今回は、中古アパ-トを活用した短期減価償却について、簡単に解説します。

減価償却とはどのような仕組みか

①減価償却とは

減価償却とは、建物が経年劣化することに伴う取得費について毎年費用計上し、必要経費にすることをいいます。建物は何年にもわたって使用する固定資産であるため、建物の構造などにより、その法定耐用年数にわたって経費として計上します。耐用年数は税法で定められているため、一般的にはその耐用年数に基づいて減価償却を行います。

 

②減価償却の計算方法

減価償却の方法には「定額法」と「定率法」の2種類があります。

 

建物の減価償却費は税法により、定額法と定められています。また、建物付属設備と構築物については、以前は定率法も選択できましたが、現在は法改正により、定額法で償却することと定められました。

 

定額法とは、毎年同じ金額の減価償却を行うことであり、定額法は次の計算式で求められます。

 

取得価額×定額法の償却率=減価償却費

 

建物の耐用年数は、住宅用の場合、鉄筋コンクリ-トだと47年、木造だと22年です。また、建物付属設備となる電気設備や衛生設備、ガス設備などの耐用年数は15年です。

新築と中古で減価償却費に違いがあるワケ

たとえば新築物件を購入した場合、法定耐用年数を用いることになりますが、新築で購入した場合、および中古物件の場合の耐用年数の求め方と償却額は、次のとおりに計算されます。

 

■木造アパートを5,000万円で購入した場合(耐用年数22年)

新築の場合

定額法償却率22年0.046

50,000,000円×0.046=2,300,000円

 

■築11年の中古物件を購入した場合

22年-11年+11年×0.2=13年(端数切捨)償却率0.077

50,000,000円×0.077=3,850,000円

 

■築22年の法定耐用期間を超えている物件

22年×0.2=4年(端数切捨)償却率0.250

50,000,000円×0.250=12,500,000円

 

このように、新築物件で購入した場合、法定耐用期間の半分経過した場合、法定耐用年数を超えた物件の償却額を比較してみてみると、大きな違いがあることに気がつくでしょうか。

 

新築で購入した場合の減価償却額は230万円に対し、木造アパ-トの場合、法定耐用年数は22年です。この年数を超えた物件を購入した場合、法定耐用年数22年に0.2を掛けた金額(簡便法)の4年(端数切捨)で計算してよいという規定があるため、減価償却額は1,250万円と算出されます。

 

上記のように、木造アパートの場合、新築と法定耐用年数を経過した物件では、減価償却額に1,020万円もの差があることがわかりました。かなり大きな違いですね。必要経費がこれだけ違うと、不動産所得が大きく減少します。

 

高額所得者の場合、所得税は最高税率が45%、住民税は10%ですので、納税額が所得税と住民税を合わせて1,020万円×55%=561万円も少なくなります。

 

また、不動産所得がマイナスになった場合でも、給与所得などほかの所得があれば、その所得から差し引くことも可能です。さらに、他の所得から差し引けなかった場合でも、青色申告をしている場合は、その差し引けなかった損失を翌年以降3年間繰り越せるという青色申告の特典もあります。

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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