(※写真はイメージです/PIXTA)

採用面接を受けていると経験をしたことがある人も多い「圧迫面接」。 この圧迫面接とは、どんな面接なのでしょうか。人事コンサルタントの曽和利光氏が著書『人材の適切な見極めと獲得を成功させる 採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

AI面接はまだ研究段階でしかない

■各選考方法の役割や精度の違い、その使い方

 

近年、様々なデータをもとにして、人や組織を分析して活用する機運が高まっています。これまでの採用面接は経験と勘に頼ってきた部分が大きかったのですが、世界中の様々な研究から従来の「面接」という選考手法は、他の手法と比べて曖昧な手法であることがわかってきてしまいました。

 

私が以前所属していた企業で、採用した人の選考時評価と入社数年後の業績評価(人事考課点等)の相関を分析したことがありました。その結果、残念なことに面接の評価と業績にあまり相関がなく、適性検査の特定の尺度にだけ強い相関が見られた程度でした。同僚からは「もう面接なんてしない方がいいのでは」という声が漏れたほどです。

 

このようなことが明らかになるにつれ、直感で行う採用面接へ疑念が徐々に生まれ、IT技術の進歩とともに人に代わる選考手法としてAI技術が注目されはじめました。既に適性検査を科学的に分析したり、AIを用いてレジュメやエントリーシート、自己PR動画などを分析したりして、選考に利用する企業が出てきています。AIが音声で面接するAI面接も登場しました。

 

さて、人が面接を行うことと、これらAI面接や適性検査との違いはなんでしょうか。

 

AI面接や適性検査の特徴として、データの収集やバイアスのかからない基礎的な部分の評価に向いていることが挙げられます。

 

例えば、事前に評価基準と質問項目を定めて、マニュアル通りに実施する面接手法である「構造化面接」のような、型が決まっている面接手法はAIに置き換えることが比較的容易でしょう。

 

また、適性検査は人のパーソナリティという曖昧なものを数値化・可視化してくれます。もちろん、候補者自身が自分のことを回答する以上、完全な客観的データとは言えませんが、分析を可能にするという意味は大きいです。

 

ただ、AI面接や適性検査といったデータを活用した採用手法は、現状はまだ研究中で、現時点では人による採用を補強する程度と見るべきでしょう。データだけでは、印象などの非言語情報はなかなか評価できませんし、入社に対する動機付けもできません。

 

そこで、このような運用をしていてデータによる評価結果と人の感覚との間に矛盾を感じたら、人が立てた仮説をリアルの面接で確かめて、感覚とデータの両方から検討するのです。人とデータ、両方のよさを組み合わせて活かすことで、採用の精度はより高まっていくと思われます。

 

ポイント
•AI面接や適性検査は、人のバイアスがかからない客観的データを収集するのに向いている。
•データをうまく活用して、人間だけでは立てられなかった仮説を立て、それをリアルの面接で実際に確かめるようにする。
 

 

曽和 利光

株式会社人材研究所 代表取締役社長

 

 

※本連載は、曽和利光氏の著書『採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

採用面接100の法則

採用面接100の法則

曽和 利光

日本能率協会マネジメントセンター

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