(※写真はイメージです/PIXTA)

採用面接を受けていると経験をしたことがある人も多い「圧迫面接」。 この圧迫面接とは、どんな面接なのでしょうか。人事コンサルタントの曽和利光氏が著書『人材の適切な見極めと獲得を成功させる 採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

面接でストレス耐性は測れない

■圧迫面接は面接の目的を阻害し、評価の精度を下げる

 

大前提として、圧迫面接はコンプライアンス的にNGです。そうでなくても、SNSが一般化した現在、圧迫面接で自社の悪い評判を(真実かどうかは別として)広く流布されることもあり、かなりリスクの高い手法です。

 

そして、そもそも圧迫面接は人材の仕事上のメンタル強度を測ることができません。

 

あえて言うなら、「面接」という特殊な場でのメンタル面、ストレス耐性を見ることはできるかもしれません。

 

しかし、面接のような他人と相対して将来が決まるような場は非日常的であり、ここでの言動が日常的な仕事の言動へ一般化できるものではありません。「仕事上で困難があったときのストレスに耐えられるか」「日常的な人間関係のストレスに耐えられるか」は、「面接の場での特殊なストレス」とは異なるのです。

 

むしろ、圧迫面接を行うことで、候補者の緊張度が高まり、かえって相手の本質を見抜くことが困難になります。警戒心を強めて萎縮させ、率直な回答も聞けなくなって、評価のために得るべき情報は少なくなります。圧迫面接は、面接の本来の目的を阻害し、評価の精度をわざわざ低くすることにほかなりません。

 

もう少し率直に私が思うことを言葉にすると、「圧迫面接でメンタル面、ストレス耐性を見る」などというのは「技量のない面接担当者の逃げ口上」でしかなく、「百害あって一利なし」です。圧迫面接を受けた候補者も「こんな人のいる会社には行きたくない」と感じ、行き場の多い優秀層から順に逃げていきます。

 

ただ、一つ気をつけたいのが、「ストレス耐性を見る」などのお題目とは関係なしに、面接担当者の無意識な態度で相手に「これは圧迫面接だ」と感じられてしまうケースがあることです。例えば、面接担当者としては候補者の話を真剣に聞こうとするあまり笑顔が消え、一見ムスッとした態度に見えることがあります。

 

面接担当者の1人が質問もせず、ただ腕を組んで座っているだけでも、相手に圧迫感を与えることもあります。また、「なぜ」「どうして」といった問いかけを重ねることも、相手の余裕を奪い、詰問されたような感覚を与えて「圧迫面接を受けた」と捉えられることもあります。

 

こういった「無意識による圧迫」は、面接担当者への事前レクチャーや注意喚起で防ぎたいものです。単なる口調や表情、質問の仕方などの小さなことで「圧迫面接だ」と受け取られるのは損でしかありません。

ポイント
•圧迫面接で人のストレス耐性は測れない。
•無意識のうちに圧迫面接だと受け取られるような態度や口調があるならば改める。

 

次ページAI面接はまだ研究段階でしかない

※本連載は、曽和利光氏の著書『採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

採用面接100の法則

採用面接100の法則

曽和 利光

日本能率協会マネジメントセンター

採用活動における「面接」は、最もポピュラーな採用選考の方法です。 しかし、これほど普及していながら、「人材をきちんと評価できているか?」「うまくコミュニケーションは取れているか?」「内定を出しても辞退されやすいの…

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