(※写真はイメージです/PIXTA)

相続はやり方を間違えたり、一歩間違うと大きなトラブルに発展します。そうした事態を避けるためにはどうすればよいのでしょうか。相続に必要な知識や相続を円満に進めるコツについて、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、一部編集してお届けします。

贈与契約は同額を返金すれば取り消しできる?

(※写真はイメージです/PIXTA)
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贈与契約の取り消しは、原則は取消しが確定した時点での「現存利益」だけを返還すれば足ります。

 

「現存利益」とは、受け取った財産から遊びなどで浪費したものを差し引いた金額です。逆に家賃や借金返済など通常の生活費に充てた金額は差し引けません。返還しない部分は贈与となり贈与税の課税対象となります。

 

また、不動産など名義変更を伴うものは不動産を返すだけではなく登記名義も戻す必要があります。

 

下記は現存利益ではなく、全額返金を要します。犯罪行為(公序良俗に反する行為)や義務・債務を前提とした贈与だからです。

 

・詐欺、強迫、によるもの

・負担付贈与による受贈者の債務不履行

 

贈与財産の返還請求は次のような一定事由があれば可能です。

 

・負担付贈与において受贈者が負担を履行しない

・受贈者が贈与者に対する扶養義務があるのに扶養しない

・受贈者が贈与者および贈与者の一定範囲親族に対し暴行等一定の罪を犯したとき

贈与契約を取り消しても贈与税は発生する?

贈与の取り消しをした場合、贈与税は発生するのでしょうか。

 

・法定取消・解除の場合

書面による契約、口頭による契約を問わず贈与税が掛かりません。契約時に遡って取消・解除されるためです。但し名義変更を伴った贈与については元の所有者に名義を戻す必要があります。この場合、名義を戻された元の所有者に贈与税は掛かりません。

 

・合意解除・解約の場合

口頭による契約かつ、履行前であれば贈与税は掛かりません。

 

履行がされた部分があれば、その部分に対し贈与税が掛かります。原則解除も出来ません。書面による契約はそもそも合意解除・解約が出来ないので贈与税も掛かります。

贈与契約での不動産取得税と注意点!

贈与された不動産に対しては不動産取得税が掛かります。

 

ただし、物件内容によっては税額軽減されたり非課税になる場合もあります。自己居住用であることの他に、床面積や築年数・耐震基準等様々な条件があります。尚、不動産を相続により取得した場合は取得税は掛かりません。

 

補足として、不動産贈与に関しては将来の相続時に特別受益になる可能性がありますので注意が必要です。不動産贈与から10年以内に、贈与者が死亡して受贈者がその相続人となる場合です。

 

このとき贈与された不動産価値を、特別受益として相続財産価格に組み入れて他の相続人との間で分割します。

 

ここで気を付けなければならないのは、不動産価値は贈与時ではなく相続発生時を評価基準とします。もし不動産価格が上昇していれば評価額は高くなります。

次ページ贈与契約に「時効」はあるの?

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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