米国ファンダメンタルズは堅調
インフレはピークアウト、FRBは断固とした利上げによりインフレマインドのスパイラル拡大にキャップをかけた。ターミナルレートは5%を超えていくが、そのもとでも米国景気は、雇用・投資・企業利益等が堅調でソフトランディングの可能性も残されている。
実質賃金はマイナスだがコロナ禍の下で潤沢になった貯蓄と好調な雇用環境(給与・賃金)、財政政策の寄与により、消費は容易に失速しないだろう。
米国企業はインフレにより10%近い増収が続き、賃金も上がるが企業の価格決定力も健在で、ドル高による海外利益の換算益減少を除き、利益率が大きく下がる要素は少なく、高水準の利益が維持されるだろう。
オーバーキル回避できるか…2条件(長期金利、司令塔の思想)の吟味
FRBのインフレ抑制優先姿勢によりオーバーキルに陥るのか、回避できるのかの見極めが重要である。筆者は、
①潤沢な貯蓄クッションとドル高により長期金利がはっきりと低下趨勢を示しているこ
②FRB、米財務省という指令塔は、(パウエル議長がどのようなレトリックを弄しようとも)本質的にデフレのリスクをより強く認識していると考えられること
の2点により2023年の前半に金融政策の大転換が起きると想定する。
急速な利上げが、家計やシャドウバンキングの債務コストの上昇をもたらし、企業・金融破たんを引き起こす連鎖には留意が必要だが、個別破綻がシステミックリスクに転化しそうな気配があれば、FRBは落下傘的救済措置を取るだろう。バブル崩壊論者が待望するようなcatastropheは起きそうもない。
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