米中対立下で緊密化する「日米金融協力」
日本円を考えるうえで日米金融協力も大事である。米中対立下で日米政府間の協力は軍事・外交のみならず、広範に緊密化していることがうかがわれる。
円の急落を(620億ドルという相当の対日貿易赤字を抱えている)米国側が容認していることは、ほぼ明らかである。コロナ危機勃発直後のドル調達難に際して米中央銀行が巨額の緊急融資を邦銀に対して行ったことからも、日米金融協力が見て取れる。
万が一の円の暴落は米国政府にとっても許容できないはずである。それは直ちに国際金融を不安定化するし、円安が進行すれば日本企業の競争力が強くなり過ぎる。米国で生き残っている数少ない製造業は自動車、半導体製造装置だが、それらにとって日本企業がもっとも手ごわい競争相手であり、産業の利益という観点からも円安に歯止めがかかるはずである。
YCCは「2023年末」まで維持か
米国インフレと長期金利のピークアウトという循環的ドル安要因も顕在化しつつある。このように考えればヘッジファンドが期待している、日銀が通貨安を止めるために金融引き締めを余儀なくされる、ということは起きようもない。
日銀はじっくり政策目標であるデフレ脱却に自信が持てるまで金融緩和を続けることができる。デフレ完全脱却と株高。次の日銀総裁もインフレターゲットの実現まで利上げを待てる。
2023年のドル円レートは150円から130円のレンジか、日銀の政策フリーハンドは続き、YCCは2023年年末まで維持される可能性が高い。
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