2023年こそ「日本経済大転換」の年
Q: 武者リサーチは2023年が日本経済大転換の年であり、企業も戦略を抜本的に変更しなければいけない、と訴えているが。
武者: 2023年こその大転換の年である、過去の成功体験に基づく経営戦略を大転換させないといけない。3つの転換が必要である。
なぜ2023年が日本経済復活のチャンスといえるのか
Q: 2023年は日本大復活への転機になる明るい年だ、と主張する根拠は。
武者:急激な円安の定着により、経済の大きな枠組みが変わった。円高が原因となったデフレの時代が終わり、2023年日本経済はバブル崩壊後最も明るい数量景気の年となるだろう。
円高で日本から海外に逃げて行った工場や資本、ビジネスチャンス、雇用が、円安によって日本に戻ってくる。米中対立も日本への工場回帰を加速させる。円安はまたインバウンドを急増させ外国人観光客が日本の津々浦々の地方内需を刺激する。
極端に割安になった日本製品を個人や中小企業が購入し、インターネットを通して海外へと販売する越境EC(イーコマース)も急増している。
このように安い物価国日本に、世界の需要が集中し、国内景気を活性化するだろう。すでに設備投資計画はバブル前も含めて過去最高水準の伸びを見せている。
IMFは2023年は日本が先進国中最も高い成長率になる(日本1.6%、米国1.0%、ユーロ圏0.5%)と予測している。企業はこの数量景気の波に乗らなければならない。
企業が円安の恩恵を受けるには
Q:円安により日本のコストが著しく割安になった。これが定着するとみられるので、企業は円安の恩恵を受けられるよう、戦略を変えなければならない。
武者:日本企業は円高に対応して工場をコストの安い海外に移転させ、生き延びた。日本経済の名目GDPゼロ成長、ゼロ物価、ゼロ金利という長期停滞状況のなかでも、企業利益は大きく飛躍し、おかげで日本の将来に明るい展望を描くことができる。
多くの競争力の強い企業が台頭しており、それらが日本経済をけん引してくれるだろう。この企業の収益力の向上は、ひとえに、企業の海外シフトが功を奏した結果である。
しかし円安で日本のほうがコストが安くなるとすると、今度は国内で生産する体制に変えなければならない。グローバル供給体制(サプライチェーン)を抜本的に転換させなければならない。
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