(写真はイメージです/PIXTA)

亡くなった人の財産には相続税がかかりますが、その税金の計算はどのようにすればよいのでしょうか? 本記事では、亡夫の財産2億5,000万円を相続したケースを中心に、Authense法律事務所の堅田勇気弁護士が相続税について詳しく解説します。

生命保険金や死亡退職金

受取人が定められている生命保険金や死亡退職金は受取人自身の財産であり、遺産ではありません。しかし、だからといって生命保険金や死亡退職金を相続税の対象から外してしまえば、課税が不公平になってしまうでしょう。そのため、被相続人が保険料を支払った生命保険金や死亡退職金は、相続税法により特別に相続税の対象とされ、みなし相続税財産とも呼ばれます。

 

ただし、相続人が受け取った生命保険金と死亡退職金には、それぞれ次の非課税枠が設けられています。

 

【生命保険金の非課税金額の計算式】

非課税枠=500万円×法定相続人の数

 

【死亡退職金の非課税金額の計算式】

非課税枠=500万円×法定相続人の数

 

この枠は、法定相続人数に基づいて算定されます。たとえば、法定相続人が妻と長男、長女である場合の生命保険金の非課税枠は、その相続全体で1,500万円(=500万円×3名)です。この場合、妻と長男、長女がそれぞれ500万円の生命保険金を受け取った場合であっても全額が非課税となりますし、妻のみが1,500万円の死亡保険金を受け取った場合であっても全額が非課税です。

 

その相続で相続人が受け取った生命保険金や死亡退職金の合計がそれぞれ非課税枠を超える場合には、超えた分だけが預貯金などほかの遺産と合算されて相続税の対象となります。

 

相続開始以前3年間の贈与と相続時精算課税贈与

被相続人が生前にした次の贈与も、相続税の対象となります。

 

■相続開始以前3年間にした贈与

相続開始以前の3年間に被相続人からの贈与で受け取った財産は、相続税の対象です。このように、過去に贈与した財産を相続税の対象として加算することを、「持ち戻し」といいます。ただし、持ち戻しの対象になるのは相続や遺言で被相続人から財産を受け取った人が受けた贈与に限定されており、相続などで財産を受け取らなかった人が受けた贈与は、たとえ亡くなる直前に受けたものであっても持ち戻しの対象とはなりません。

 

なお、贈与を受けた時点で贈与税を支払っていた場合には、支払った贈与税の相当額が相続税からマイナスされます。

 

■相続時精算課税制度を使った贈与

相続時精算課税制度とは、相続の際に精算して課税されることを前提とした贈与です。この制度を使うと、複数年にわたる計2,500万円までの贈与にかかる贈与税が非課税となる他、2,500万円を超えた分についても一律20%という比較的低い税率で課税されます。

 

ただし、この制度を使った贈与は、全額が相続税の対象として持ち戻される決まりとなっています。過去3年分だけが持ち戻しの対象となる通常の贈与と異なり、かなり前の贈与であっても持ち戻しの対象となりますので、注意しましょう。

 

債務や葬儀費用は控除できる

被相続人の借金(「債務」といいます)や葬儀にかかった費用は、相続税の対象となる財産の額からマイナスをすることが可能です。控除対象となる被相続人の債務には、たとえば次のようなものがあります。

 

・銀行や消費者金融などからの借金

・友人からの借金

・自分が代表となっている会社からの借金

・医療費の未払金

・未払いの税金

・クレジットカードの未払金

 

ただし、お墓や仏壇などの非課税財産を購入した場合の未払金は、控除の対象とはなりません。また、控除の対象となる葬儀費用には、次のものが含まれます。

 

・葬儀や納骨、火葬にかかった費用

・お寺やお坊さんに支払った費用

・お通夜の費用

 

一方で、香典返しにかかった費用や葬儀とは別の日に行った初七日などの法要にかかった費用は、控除することができません。

 

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