鍛え方は腹筋が収縮することを意識
■重さの設定はどうするか
では実際にあなたが扱う重さとRM=最大筋力はどう決めればいいのか。実は最大筋力は、なかなか自分では決められないのだ。全力の1回を自分で判断するのは難しい。そこで今回のプログラムは「ストレートセット法」で行う。どういう方法か。
最初に15〜20回程度を、かなり余裕を持って扱える重量を試す。仮にマシンのベンチプレスを例に取ろう。同じ重さを15回上げて途中までは上がるが、16回目はちょっとムリという重さが理想的。実際の「ストレートセット法」では3セット行うので最終的には以下のようになる。セット間の休憩は1分が基本。仮にこの重さが20㎏だったとしよう。
①1セット目──20㎏を10回
②2セット目──20㎏を10回
③3セット目──20㎏を10回
普通、セット数が増えるに従って筋力は疲労し、挙上できる力は落ちてくる。この筋力の低下に合わせ、最初にいちばん重い重さを持ち上げてから、次第に回数や重さを減らす。これを「ディセンディング法」という。
一般的に紹介されるトレーニング方法がこれだ。
だが、今回のプログラム「ストレートセット法」では、重さも回数も変えない。1セット目は軽過ぎるんじゃないかと感じるくらいでいい。それでも1セット目より3セット目は確実に筋肉に負担がかかっているから、ちゃんと効果はある。重さの設定変更が不要なので、動きにも集中できる。
何より重過ぎるウエイトを無理して扱うことで筋肉を痛める心配もない。同じようにスクワット、デッドリフトも重量を決めて3セットずつ行う。
■ウエイト増量の量とタイミング
重さを増やすときは無理をしない。仮に3セット目で20㎏を軽く感じる余裕があっても、すぐには増量しない。なぜならトレーニングはその日の体調によってかなり影響を受ける。トレーニングの前に食べたものでも力の出方は変わる。重量、回数が増やせそうと感じたら、まずフォームが崩れていないか再確認する。その上で次回も同じウエイト回数で楽にできたら、次々回、ここで初めて負荷を増す。ただし、重さでいうなら5%を超えて増やさないこと。
■意識と視線と呼吸
呼吸は力を入れるときに吐き、力を抜くときに吸う。たとえばベンチプレスならラックからシャフトを下ろし、胸の上で構えたときに一度呼吸を整え、胸を張って反らせ、息を吸いながらシャフトを下ろしていく。シャフトを胸につけたら息を吐きながら挙上していく。
運動中、息は止めないというのは基本だが、スクワットやデッドリフトなど高重量を上げるときはどうしても止めることになる。息を吸って腹部に力を込め、デッドリフトなら持ち上げたとき、スクワットなら沈み込んだときに止めた息を吐く。
視線の方向も大事だ。体の前面の運動、たとえばアームカールやハンマーカールの場合は筋肉を収縮させながら視線はやや下げシャフトを見る。
逆に体の後面の運動、たとえばラットプルダウンなどは視線を上げるというのが一般的には覚えやすい。こうすることで反動をつけた動きを防ぎ、的確に狙った筋肉に刺激が及ぶ。
腹筋の基本筋の代表的な種目がある。寝た状態から頭と肩を持ち上げる動きが「クランチ」。そのまま腰から上、上半身まで起き上がる動きが「シットアップ」だ。平らな床で行うこともあれば、足をかけ、斜めにした腹筋台を使うこともあるが動きは同じだ。「クランチはあまり効果がない」とか「シットアップは腰を痛めやすい」などと言われるのには理由がある。
私自身も経験があるが、単純な動きに見えて、どちらも意外に効かせるのが難しい(だから私はレッグレイズを多めにやるが、これはまぁ趣味の問題)。
とかく起き上がることに意識が向きやすいが、意識は腹筋が収縮することに集中する。要は提灯を折り曲げるように腹筋をたたみ、その結果、上体が丸く起き上がってくるようにイメージする。肋骨を恥骨に向かって丸める意識だ。
呼吸はどうするか。まず息を吐き出しお腹を凹ませ、体幹を引き締める。次に「逆腹式呼吸」のように、この状態のまま息を吸い込み腹筋に力を入れる。吸い終わったら息をゆっくり吐きながら腹筋を縮めていく。
起き上がったら(クランチなら肩が持ち上がったら)ここで息を吸い、再び息を吐きながら今度は腹筋の収縮を緩めていく(上体は倒れていく)。この動きを3〜4秒かけゆっくり行うと、かなりキツイし効果もある。
城 アラキ
漫画原作家
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