(※写真はイメージです/PIXTA)

初心者から経験者までみんなわかっていることです。わかっているけど、特にひとりでトレーニングしていると、ついいい加減になり、疲れて投げだしそうになります。還暦から筋トレを始めた城アラキ氏が著書『負けない筋トレ 還暦から筋トレにハマったら、「肉体」と「人生」が激変した!』(ブックマン社)で解説します。

運動の「主動関節」の動きを意識する

【BIG3のフォームの基本と守るべきポイント】

 

■大事なのは「主動関節」の動き

 

「BIG3」すべての種目でその運動の「主動関節」の動きを意識すること。たとえばベンチプレスで最も大事なのは実は大胸筋そのものではなく、肩関節の動き(正確には「肩関節の水平内転」)でバーを押し上げること。

 

要は筋肉を単なる体の部分として見るのではなく、その動きと働きに意識を集中する。アームカールでいうなら、上腕二頭筋が収縮する(縮む)ことで肘関節を支点に前腕、その先のバーベルを握る手が上がると意識する。

 

ベンチプレスだけは最初はマシンを使うが、これはまったくの初心者がバーベルのシャフト(20㎏ある)をベンチ台で上下するのは少々ハードルが高いため。落下の危険があるのはもちろんだがフォームが安定せず、正しい軌道も描けない。

 

マシン、それも座った姿勢のベンチプレス・マシンで腕を水平に保ちまっすぐに前に突き出す動きを覚える。筋肉に十分なストレッチを効かせるため肘を曲げるときは限界まで深く曲げ、伸ばすときも一杯まで伸ばす。ただし背中は肩甲骨を寄せ、台にピッタリとつけ、肩は下げて腕を伸ばしきったときでも肩甲骨を締めて開かない。

 

■「81㎝ラインを基準に」

 

マシンでベチプレスの動きを覚え、ある程度筋力がついたら最初はバーベルのシャフトだけを上下する。手幅は肩幅の1.6倍が標準とされ、シャフトを胸に下ろしたときに肘が直角になるようにと言われるが、自分ではチェックできない。シャフトをよく見ると、両側に線が刻んである。これが「81㎝ライン」。この線に中指か薬指を当て握るのが平均的手幅だ。 

 

肩甲骨を寄せ、肩を落とし、頭、両肩をベンチ台に、両足は床にしっかりつけ、この5ヵ所で体を保持し、背中を反らせてアーチを作る。ラックに乗ったシャフトが視線の先に来るように頭の位置を決める。シャフトをラックから外したら大胸筋の乳首あたりまでゆっくり下ろし、胸で反動をつけずに持ち上げる……と、書くだけでこれだけ長いわけだから、正直、初心者には正確なフォームはなかなかなかなか難しい。

 

■ベンチプレスは「足先方向に上げる」を意識

 

そこで、細かいフォームはおいおい覚えるとして、ベンチプレスで初心者が守るべきポイントだけを訊いてみた。

 

初心者の場合、シャフトを下ろすときは両乳首あたりを目指すが、上げるときに、胸から垂直ではなく頭上方向に曲線を描くように上げてしまうことが多い。これは胸で丸くアーチを作って浮かせているためで、自分では垂直に上げているつもりでも、横から見ると頭上方向に弧を描いて動いている。

 

この癖がつくと大胸筋に刺激が加わりにくいばかりか、肩を痛めやすくなる。意識としては真っ直ぐ上げるのではなくやや足先方向に上げる気持ちでちょうどいい。と、これはトレーナー鈴木さんに加えベンチプレッサーNさんからのアドバイスでもある。

 

もう一点、ベンチプレスでは腕を伸ばしてシャフトを上げると意識するのではなく、むしろ逆に背中の方をベンチ台に押しつけていくように意識すること。この感覚はなかなかつかみづらいが、腕の方がむしろ固定されていて背中が押し下げられていく感じだ。

 

■スクワットとデッドリフトは「中学野球部補欠」フォーム

 

私が不器用なせいか、たとえばスクワットをやるときに「ええと……膝を曲げるのが先だっけ、お尻を突き出すのが先だっけ」と関節の動きが二つ以上(これを多関節運動という)になると途端に動きがぎこちなくなる。二つの関節を同時に滑らかに連動させるというのはなかなか難しい。

 

これに対し関節がひとつだけ(これを単関節運動という)は初心者も動きを理解しやすい。たとえばアームカールや上腕を固定したプリチャーカールは楽だ。しかしスクワットは「キングオブエクササイズ」とさえ呼ばれている。いちばん苦しくて辛いけど外せない種目なのだ。スクワットとデッドリフトの動きをイメージしやすい基本フォームを訊いてみた。

 

まず足を軽く開き、腰をややかがめる。膝を少し曲げ、背は丸まらぬように真っ直ぐを意識。次に膝頭に両手を伸ばしてつき、顔を上げる。デッドリフトならこの姿勢から起き上がり、スクワットならこの姿勢を通過してお尻を突き出すようにいっそう膝を曲げ下半身を下ろしていく。と、文章で書かれてもなかなか伝わりにくいだろう。

 

このカッコ、何かに似ているなと気づいた。今どきは知らないが、中学の野球部の練習。外野のそのまた外を、新入生や補欠の部員が囲んでいる光景を思い出して欲しい。ボールがすぐに来るわけではないので、両手は膝に置いて顔はホームベースに向け声だけ出していなかったろうか。要はあの格好だ。どこにも力が入らず自然で楽なポジションになる。

 

膝をつま先より先に出さないとか、膝を曲げる方向と足先の方向を揃えるとか、注意が書かれていることが多いが、この「中学野球部の補欠」ポーズは意識しなくてもこの注意が守れる。デッドリフトやスクワットで体の動きがわからなくなったら、一度このポーズを取ってみるといい。背中を丸めないようにややそり気味にし、視線を落とさないのがコツだ。

 

次ページ「もうこれ以上は無理」まで自分を追い込む

本連載は、城アラキ氏の著書『負けない筋トレ 還暦から筋トレにハマったら、「肉体」と「人生」が激変した!』(ブックマン社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

負けない筋トレ

負けない筋トレ

城 アラキ

ブックマン社

『ソムリエ』『バーテンダー』など、数々のお酒にまつわる傑作漫画の原作を手掛けてきた著者は自他ともに認める酒呑みであり、美食家だ。3日に一度は暴飲暴食。仕事柄、1日の歩数が500歩なんてザラだった。運動もしない日々を…

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