リーダーに必要な「共感」を生み、人を動かす語り方を指南

私たちが上手に語れないのは、出来事を伝えたり、自分がどう感じたかを伝えたりすることにばかり神経を使い、聞き手に共感してもらい、聞き手の行動を引き起こすところまでは考えないで話をしているからです。経営コンサルタントの井口嘉則氏が著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

おとぎ話の「桃太郎」にある5つの要素

■物語の5つの基本要素

 

さて、そのストーリーテリングの元となるストーリー=物語ですが、以下の5つの基本要素を備えていることを予め押さえておきましょう。

 

おとぎ話の「桃太郎」を思い出してみましょう。そこには、物語に必要な5つの要素がすべて入っています。

 

① 場面設定(むかしむかし、あるところに…)

 

物語には、必ず、いつ、どこでの話なのかという、場面設定があります。逆にいうと、ストーリーを語る際には、いつ(when)、どこで(where)をはっきりさせる必要があります。桃太郎の話の場合には、いつどこでということをぼかすために、「むかしむかしあるところに」ということになっていますが、通常のストーリーでは、いつどこでということを明確に伝えます。

 

② 主人公(大きな桃の中から元気な赤ちゃんが出てきました)

 

物語には、必ず主人公がいます。一人ではなくてグループとかチームの場合もあります。桃太郎の場合は、桃太郎本人ですね。そして物語は、主人公の視点を通して展開していきます。皆さんも映画やドラマを見る時に誰が主人公なのかがまず気になりますね。

 

③ 主人公の想いと行動(鬼は悪い奴だ。鬼を懲らしめてやろう)

 

そして物語が展開していくために、その主人公の想いと行動が重要になってきます。桃太郎の場合だと、子供がいなかったお爺さんお婆さんに、愛情を注がれすくすくと育ったあと、ある日、都から来た旅人に、都に鬼が出て、人々がひどい目に遭っていることを聞かされ、「鬼は悪いやつだ。よし僕が行って懲らしめてやろう。」と決意します。ここの部分が、主人公の想いと行動に相当します。

 

④ 筋(おばあさんに、きび団子を作ってもらい鬼退治に出かけました。すると…)主人公の想いと最初の行動を起点として、物語が展開していきます。

 

桃太郎の場合、途中で、犬、猿、雉子という三匹の動物が現れて、きび団子を分けてもらう代わりに鬼退治のお供に付いていくことになります。また、鬼ヶ島に渡るために、漁師さんに船を貸してもらって渡りました。

 

⑤ 結末(鬼退治して鬼から取り返した宝物をみんなに返してあげました)

 

ストーリーには必ず結末があります。

 

桃太郎の場合には、みんなで協力して鬼を退治し、降参させ、鬼が奪っていた宝物を取り返し、みんなに戻してあげました。ということでハッピーエンドで終わります。

 

以上のように、物語には、5つの基本要素が備わっています。読者の皆さんも自分の知っている他の物語でこの5つの要素を確認してみてください。

 

【4/13(木)無料Webセミナー】

《Web担当者必見》
売上UPに繋がるリード獲得&育成術
出版社発のWebコンテンツ作り×メールマーケティング

あなたにオススメのセミナー

    株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
    オフィス井口 代表

    岐阜県出身。東京大学文学部社会学科卒業、シカゴ大学MBA。

    日産自動車にて情報システム部門、海外企画部門を経験、中期計画・事業計画を担当。三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)にて、中堅~大企業向けに中計策定支援をはじめ、数多くの経営コンサルティング案件を手がける。その後、IT系などのコンサルティング会社を経て、2008年にオフィス井口設立。2009年から株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット代表取締役。

    2010年代には中央大学ビジネススクール客員教授、立教大学経営学部講師、対外経済貿易大学客員教授(中国・北京)等も務める。

    クライアント企業の新規事業企画コンサル、中期経営計画策定やワークショップ方式の企業研修講師を多く務める。「研修程度の費用でコンサル以上の成果を」が売り。研修・講師実績多数。研修・セミナー等は年間100回程度のペースで実施(Zoom等を使ったオンラインセミナーや研修も実施している)。

    【主な著書】
    『マンガでやさしくわかる中期経営計画の立て方・使い方』(2019年)
    『マンガでやさしくわかる経営企画の仕事』(2018年)
    『マンガでやさしくわかる事業計画書』(2013年)
    『ゼロからわかる事業計画書の作り方』(2009年)
    (以上、日本能率協会マネジメントセンター)

    『これならわかるマンガで入門!新規事業のはじめ方』(ダイヤモンド社、2015年)
    『中期経営計画の立て方・使い方』(かんき出版、2008年)
    『経営戦略のフレームワークがわかる』(産業能率大学出版部、2011年) ほか

    著者紹介

    連載なぜあの人の言葉は刺さるのか?「話し方」と「語り方」の違い

    ※本連載は井口嘉則氏の著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再構成したものです。

    リーダーのための人を動かす語り方

    リーダーのための人を動かす語り方

    井口 嘉則

    日本能率協会マネジメントセンター

    最近、リーダー職や管理職になって悩む方を多く見かけます。「どうやったら部下に分かってもらえるんだろう?」「なぜ言うことを聞いてもらえないんだろう?」という悩みを打ち明けられます。 考え方は人それぞれで、考え方が…

    事業計画書の作り方100の法則

    事業計画書の作り方100の法則

    井口 嘉則

    日本能率協会マネジメントセンター

    経営環境が激変する最悪シナリオを乗り切る「事業計画書」の立て方・作り方とは? 「ビジョン・戦略立案フレームワーク」で何を/どの段階で行うかがわかる“これからの”実践教科書。 コロナ禍にあっても、事業計画の立…

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    登録していただいた方の中から
    毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
    TOPへ