議論で「そもそも」を投げかけると
■限界からの引き返し
露地くんはあっさり「ごめん、やきそばでいいよ」と認めましたね。露地くんは頭の回る人ですので、限界に達したのを察したようです。ここから引き返しです。もう「やきそば」ステージの「カップ」「生麺」ステージしか考えなくていいのです。
ステージが絞り込まれれば、合意に向けて一気に加速が始まります。
ところで「そもそも」をどんどん投げかけ、共通のステージを発見し続けたらどこまで行くのでしょう?
AくんとBくんの会話をご覧ください。
Aくん「お腹すいたね~。やきそばでも食べに行こうよ。いい店知ってる?」
Bくん「そもそも、何でお腹すくの?」
Aくん「それが人間の胃袋だよ。」
Bくん「そもそも、人間って何?」
Aくん「生き物じゃん。」
Bくん「そもそも、生き物って何?」
Aくん「それはさあ、地球のさあ、宇宙とか神さまとかがさあ…」
Bくん「そもそも、宇宙なの? 神さまなの?」
Aくん「もう、大げさじゃね? やきそば食べに行こうよ。」
「そもそも」を投げかけ続け、共通のステージを発見し続けると、あっという間に「やきそば」から「宇宙」や「神さま」に達してしまいます。やり過ぎです。やきそばをどこに食べに行くかを決めたいだけだったはずです。
Aくんは、「そもそも、何でお腹すくの?」とBくんに問われた時点で引き返してもよかったですね。
■最適解は近くにある!
どんな事象であっても「そもそも」を投げかけ続けると、あっという間に宇宙とか神さまとかの話に達してしまうのです。やろうと思えば1分くらいの会話でも宇宙に行けてしまうのです。
最適解はその手前に存在します。もっともっと浅くて近くにあるのです。
露地くんが「ごめん、やきそばでいいよ……」と引き返すまでそんなに深い議論はしていませんね。
だから会議や議論では大いに「そもそも」を投げかけ、共通ステージを分離させ、並列ステージを発見し続けるべきなのです。話のスケールが無駄に大きくなったら引き返せばいいのです。そんなに時間はかかりませんから。
多くの人が最適解は意外に浅くて近くに存在する事実を知らずに「もうキリがないから」と言って、妥協案に落ち着こうとしてしまうのです。妥協案は最適解ではないので合意にも達していません。
でも、多数決を取るといかにも合意形成したかのような気分になります。この手法で議論を進めてしまう人のなんと多いことでしょう。あなたも会議の場でそういう場面を見たことはありませんか。
何度も言いますが、最適解は意外に近くにあります。キリがない、なんてことはありません。
そして……。
限界から引き返したことでステージが絞られました。いよいよステージ上の登場人物(物を含む)を分析する段階に進みます。
ペヤングに向けて、一気に具体的になっていきますよ。
谷藤 賢一
株式会社C60代表取締役
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