(※写真はイメージです/PIXTA)

会議や議論では大いに「そもそも」を投げかけ、共通ステージを分離させ、並列ステージを発見し続けるべきなのです。話のスケールが無駄に大きくなったら引き返せばいいのです。IT&キャリアコンサルタントの谷藤賢一氏が著書『ペヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

アイデア出し「限界の発見」

■「お好み焼き」登場

現在時刻 12:02:00

 

井ノ辺さん「そもそも、ソース味でガッツリだったわね?」

 

露地くん「そうそう、それで気づいたんだけど、お好み焼きもソースガッツリだよね」

 

露地くん「あ! もんじゃ焼きもそうだ!」

 

露地くん「サクッと、とんかつ~♪」

 

露地くん「ねえ、みんな知ってる? ソースカツ丼ってさあ……」

 

井ノ辺さん「ちょ、ちょっと露地くん、今日はだれもお店に食べに行く気ないよ。うっかり振っちゃった……。」

 

出来内くん「ねぇ、いいかげんにしようよ」

 

露地くん「うん、ぼくもお店行く気ないんだった。ごめん、やきそばでいいよ……」

 

■さらに共通ステージが現れた

 

井ノ辺さんが調子に乗って「そもそも」を放ってしまったせいで、さらに共通ステージが現れてしまいました。頭の回る露地くん、もうアイデアが止まりません。

 

「やきそば」は「ソースがっつり」という共通のステージに乗っていることがわかってしまいました。

 

ということは、「やきそば」と並列関係にある他の食べ物がどんどん見つかります。「お好み焼き」「もんじゃ焼き」「とんかつ」「ソースカツ丼」……。まだまだ出てきそうです。こうして並列関係のステージを発見していくのは悪い行為ではありません。

 

出典)谷藤賢一著『ペヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力』(日本能率協会マネジメントセンター)より。
出典)谷藤賢一著『ペヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力』(日本能率協会マネジメントセンター)より。

 

でも、いつか必ず限界が来ます。そこまでアイデア出しすればいいのです。

 

では、本当の限界って何でしょう?

 

■アイデア出しの限界って何だ?

 

露地くんの新たなアイデアは結局お店に行くものばかりです。カップやきそばを、買い置きの「ほくほくやきそば」で妥協するのか、やっぱりペヤングを買ってくるのか、そんな議論だったのに、だいぶ飛躍してしまいました。

 

だから、さすがの井ノ辺さんも「ちょっと待って……」となったわけです。たぶんこの辺りが限界なのでしょう。

 

もちろん、別のストーリーも考えられないこともないです。例えば「近くにおいしいお好み焼き屋があるんだよ!」と誰かが言った途端、みんなの意識ががらりと変わって「じゃあ、思い切ってそのお店に行くか!」となるかも知れません。

 

また、井ノ辺さんが調子に乗って「そもそも何でソースがっつり?」と言い放った途端、「ソースがっつり」の下にまたステージが現れます。

 

そうなるとラーメン、オムライス、サンドイッチ、ハンバーガー、牛丼……、もう最初の「やきそば」から遠く離れてしまいます。やり過ぎです。でもいいのです。あとは引き返すだけですから。

 

出来内くんタイプの人はこういう展開を嫌います。出来内くんタイプの人が力を持っている会社ではアイデアが出ないままの社内会議が延々続いたりします。

 

ステージが分割したり、新たなステージが登場した瞬間に「今はその話じゃないだろ」と制止されるため、アイデアが広がりません。人の生活、安全、命にかかわるような仕事の場合、致命的なことになりかねません。「議論が飛躍してきたな」と思えるところまで徹底的に話を広げるべきなのです。必ず引き返すポイントが来ますから。

次ページ議論で「そもそも」を投げかけると

本連載は谷藤賢一氏の著書『ペヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

ペヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力

ペヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力

谷藤 賢一

日本能率協会マネジメントセンター

なぜペヤングソースやきそばが問題解決につながるのでしょうか。それは、カップやきそばを選び、作り、食べるまでのプロセスを分析すると、問題解決の手法をとてもわかりやすく説明することができるからです。 本書では、露地…

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