現地の会社の社長になったのに、現地の人たちに、その会社を将来どうしたいのか、その会社のビジョンを示せなかったがために、優秀な幹部が辞めていった事例もあります。経営コンサルタントの井口嘉則氏が著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

 

カメラに映るように身振り手振りを付ける

6つ目として、少し言葉を大げさに表現するように心掛けます。オンラインでは、表情が読み取りにくく、結果として感情や気持ちが伝わりにくくなります。なので、リアルの時と同じように話すと、淡白に聞こえます。ですから、通常の会話で込める時の感情や気持ちよりも言葉に何割か増しで感情を込めて表現します。言葉としての、「すっごい」とか、「とても」とか、「大変」等の修飾語を意識して使うのもいいでしょう。

 

7つ目として、話の起承転結をはっきりさせるということがあります。リアルであれば、場の共有ができていますから、多少冗長な話をしても、趣旨のくみ取りにくい話をしても、話がそれても、聞き手は話につき合ってくれますが、オンラインの場合、前に述べたように、リアルと違って場の共有がしにくく、聞き手の気が散りやすい状況にあります。

 

ですから、話の冒頭でツカミを取るとか、結論を先に持ってきて、理由は後から述べるとか、論旨が明確な話し方をするなど、聞き手が集中しやすい、理解しやすい話し方を心掛ける必要があります。つまりリアル以上に、話の仕方に注意が必要だということです。

 

8つ目として、わざとカメラに映るように、身振り手振りを付けます。手を振ったり、手話のように手を動かしながら話をしたりします。相手の画面に映るこちらの顔や姿が小さいため、普段の会話ではやらないような仕草を入れて、こちらの言いたいことが、画面からも伝わるようにします。よくテレビのニュースで、端の方に手話通訳者の姿が映ることがありますね。何か大げさな動作をしています。極端に言えばあんな感じです。逆に言えば、大げさな動作をしても、相手にはあの程度にしか伝わらないと思えばいいのです。

 

9つ目として、画面共有などで、こちらが伝えたいことのポイントをまとめた資料を使いながら話すことです。リアルの場面でも、資料を持参して相手に見てもらいながら話をする機会があると思いますが、オンラインの場合も、口頭の話だけでは相手も視線の向け先に困るでしょうから、資料を見てもらいながら聞いてもらえるように、使う資料を画面共有して説明に使用するといいでしょう。

 

画面共有は、こちらの資料を紹介するためだけではなく、相手の手元資料も共有できますから、双方向で画面共有することで、情報の共有がやりやすくなります。オンラインのいいところは、必ずしも事前に資料を揃えてなくても、使いそうなファイルやページを開けておいて、画面共有時にそれを選んで共有することができるところです。

 

もちろん、画面共有しながら、その資料に追加書きを行うことで、ホワイトボード代わりに使うこともでき、ファシリテーション的な話の持っていき方がしやすくなります。

 

10番目として、チャット機能を有効活用するというのがあります。例えばオンライン会議中に、特定の人にメッセージを送る、添付ファイルを送る等のことができるため、メイン画面で議論されていることと別に、裏で相談することもできます。これは、リアルにはない機能で、大変便利です。

 

井口 嘉則
オフィス井口 代表

 

 

※本連載は井口嘉則氏の著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再構成したものです。

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