現地の会社の社長になったのに、現地の人たちに、その会社を将来どうしたいのか、その会社のビジョンを示せなかったがために、優秀な幹部が辞めていった事例もあります。経営コンサルタントの井口嘉則氏が著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

 

リアルの時よりもはっきりと発声する

■デジタル時代に伝わる「話し方」が必要になっている

 

オンラインツールを使ったコミュニケーションの難しさについて触れましたが、伝わらなさを嘆いていても仕方ないので、オンラインなりのコミュニケーション上の工夫について、何点かお話しましょう。

 

まずは、「話し方」以前のポイントです。

 

1つ目は、zoom等のオンラインコミュニケーションツールに慣れることです。オンライン会議への入り方や、ビデオやマイクのオンオフ、画面の共有、ブレイクアウトセッション等のグループ討議、チャットを使ったやり取り等、基本的な使い方に慣れておくと、コミュニケーション以外の部分に対するストレスが少なくなります。

 

その結果、話すことや聞くことに意識を集中することができます。私の場合、オンライン研修では、基礎的な操作を予め練習で慣れておいてもらってから、本番の研修をするようにしています。

 

2つ目は、背景にバーチャル背景などを使い、自分も相手も、どこに居るかということをほとんど気にしなくてもいいようにすることです。背景に映っているものが気になると、気が散るもとになります。

 

3つ目は、服装や髪型ですが、上半身しか映らないので、相手に見える部分について、たとえカジュアルに見えても、失礼のないような身だしなみをします。中には、オンラインだからといってカジュアルすぎる人がいますが、真面目にやる気があるのか疑問を感じさせますので、カジュアル過ぎるのも問題です。

 

つまり、リアルであればリアルなりの立ち居振る舞いが必要なことと同様に、オンラインであれば、オンラインなりの出で立ちが必要になるということです。

 

さて、ここからが、話し方の話題になります。

 

4つ目として、オンラインの場合、リアルの時よりも、よりはっきりと発声する必要があります。マイクとスピーカーを通した音声となるため、はっきりと発音しないと聞こえにくいのです。特に日本語の場合、文末に「である」「でない」というイエス・ノーの結論が来るので、文末、語尾をはっきりと発音する必要があります。オンラインのミーティングを始める前に、自分の音声や画像が相手にはっきりと伝わるようになっているかどうか確認するといいですね。

 

5つ目として、言いたいことをはっきりさせる必要があります。表情などが伝わりにくいため、「気持ちを察してください。」といった、言葉以外のコミュニケーション要素に期待してはいけません。賛成なのか、反対なのか、欲しいのか、欲しくないのか、自分の意思をはっきりさせて発言する必要があります。はっきりしていないのであれば、その旨を伝えて、考えさせて欲しいとか、時間をくれ等のことを伝えればよいのです。

 

次ページカメラに映るように身振り手振りを付ける

※本連載は井口嘉則氏の著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再構成したものです。

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