商品力の強い会社を見分ける方法
ニトリで何か買ったことはありますか? ニトリは全国に600以上の店舗があり、ネット通販もやっていますから、買ったことがある人も多いでしょう。私も、テーブル、いす、ベッドなど、ニトリの商品を愛用しています。
ニトリの特徴は、なんといっても安いこと。薄利多売で、利益を削って安く売っているのでしょうか? たとえば、ベッドは、たったの2万円で売っているものもありますが、ニトリは、このベッドを作るのにいくらかけたと思いますか? ニトリの決算書から推測してみましょう。
決算書にはいくつかの種類があります。今回はそのなかから、損益計算書と呼ばれるものを取り上げます。損益計算書は会社の経営成績をあらわしている決算書です。損益計算書は、英語ではProfit and Loss Statementですので、略して、PLと呼ばれることが多いです。
決算書の読み方① 売上総利益(粗利)とは?
ニトリの損益計算書(以下、PL)を上から見てみると、売上高7,169億円、売上原価3,051億円、売上総利益4,118億円となっています。これは、ニトリが1年で7,169億円の製品を売り、その製品を作るのに3,051億円かかり、差額の儲けが4,118億円だったということです。
売上原価は、売ったものに直接かかった費用で、販売業ならいくらで仕入れたか、製造業ならいくらで作ったかをあらわしています。製造業の売上原価には、材料費、工場で働く人の人件費、工場の経費などが含まれます。
売上総利益は、売上高から売上原価を引いた金額です。
実務では売上総利益のことを粗利ということが多いです。粗利という用語はPLには出てきません。
私は最初に仕事で「粗利」という文字を見たとき「そり」と読んでしまい、恥ずかしい思いをした記憶があります。「そうりえき」と「そり」で言葉はちょっと似ていますが、「粗利」は「そり」ではなく、「あらり」と読みます。
決算書の読み方② 売上原価率、売上総利益率(粗利率)とは?
PLの数字は、売上高との比率にするとわかりやすくなります。売上原価の売上高に対する比率は売上原価率、売上総利益(粗利)の売上高に対する比率は売上総利益率または粗利率といいます。
売上原価率=売上原価÷売上高
売上総利益率(粗利率)=売上総利益÷売上高
ニトリの売上原価率は42.6%、粗利率は57.4%です。商品によって原価率は違いますから正確ではありませんが、かりに2万円のベッドの原価率も42.6%だとすると、原価は20,000×42.6%=約8,500円と推測できます。
粗利率は商品力の強さを示します。会社や業種によってかなりばらつきがありますが、あえて目安をあげると、25%程度です。75円で仕入れたものを100円で売れば、粗利率は25%です。ニトリは57.4%なので、目安より高いですね。
ニトリは、薄利多売どころか、しっかりと利益をのせて売っているんです。それだけ安く作ることができているということです。粗利率のように、利益の売上高に対する比率を一般に売上高利益率といいます。
売上高利益率を使うことで、他の会社との比較や過去との比較などをしやすくなります。粗利が4,118億円というだけでは、高い数字なのか低い数字なのかわかりませんが、粗利率が57.4%であれば、目安の25%より高いということが簡単にわかります。
これから先もいろいろな「率」が出てきますが、ぜひ「率」で数字をつかむことに慣れていってください。