ニトリが「お、ねだん以上。」を実現できるワケ。薄利多売とは縁遠い、1つ1つでしっかり儲けるポイント

決算書の読み方に関する本は数多くありますが「解説本を読んだけれど読めるようにならなかった」「実際に決算書を読むのは難しい」という声をよく耳にします。しかし、専門家を目指しているわけではないビジネスパーソンに必要なのは、会社が「儲かっているか」「つぶれないか」というシンプルな2つの要点を、決算書から読み取れるようになることです。銀行員、コンサルタント、M&Aアドバイザーと「決算書を読む」仕事に約30年携わってきた著者が、キャリアのなかで確立した「決算書の読み方」のエッセンスをわかりやすく紹介します。

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商品力の強い会社を見分ける方法

ニトリで何か買ったことはありますか? ニトリは全国に600以上の店舗があり、ネット通販もやっていますから、買ったことがある人も多いでしょう。私も、テーブル、いす、ベッドなど、ニトリの商品を愛用しています。

 

ニトリの特徴は、なんといっても安いこと。薄利多売で、利益を削って安く売っているのでしょうか? たとえば、ベッドは、たったの2万円で売っているものもありますが、ニトリは、このベッドを作るのにいくらかけたと思いますか? ニトリの決算書から推測してみましょう。

 

【図表】ニトリホールディングス 連結損益計算書(2020年2月21日から2021年2月20日まで)

 

決算書にはいくつかの種類があります。今回はそのなかから、損益計算書と呼ばれるものを取り上げます。損益計算書は会社の経営成績をあらわしている決算書です。損益計算書は、英語ではProfit and Loss Statementですので、略して、PLと呼ばれることが多いです。

決算書の読み方① 売上総利益(粗利)とは?

ニトリの損益計算書(以下、PL)を上から見てみると、売上高7,169億円、売上原価3,051億円、売上総利益4,118億円となっています。これは、ニトリが1年で7,169億円の製品を売り、その製品を作るのに3,051億円かかり、差額の儲けが4,118億円だったということです。

 

売上原価は、売ったものに直接かかった費用で、販売業ならいくらで仕入れたか、製造業ならいくらで作ったかをあらわしています。製造業の売上原価には、材料費、工場で働く人の人件費、工場の経費などが含まれます。

 

売上総利益は、売上高から売上原価を引いた金額です。

 

売上総利益(粗利)=売上高−売上原価

 

実務では売上総利益のことを粗利ということが多いです。粗利という用語はPLには出てきません。

 

私は最初に仕事で「粗利」という文字を見たとき「そり」と読んでしまい、恥ずかしい思いをした記憶があります。「そうりえき」と「そり」で言葉はちょっと似ていますが、「粗利」は「そり」ではなく、「あらり」と読みます。

決算書の読み方② 売上原価率、売上総利益率(粗利率)とは?

PLの数字は、売上高との比率にするとわかりやすくなります。売上原価の売上高に対する比率は売上原価率、売上総利益(粗利)の売上高に対する比率は売上総利益率または粗利率といいます。

 

売上原価率=売上原価÷売上高

売上総利益率(粗利率)=売上総利益÷売上高

 

ニトリの売上原価率は42.6%、粗利率は57.4%です。商品によって原価率は違いますから正確ではありませんが、かりに2万円のベッドの原価率も42.6%だとすると、原価は20,000×42.6%=約8,500円と推測できます。

 

粗利率は商品力の強さを示します。会社や業種によってかなりばらつきがありますが、あえて目安をあげると、25%程度です。75円で仕入れたものを100円で売れば、粗利率は25%です。ニトリは57.4%なので、目安より高いですね。

 

ニトリは、薄利多売どころか、しっかりと利益をのせて売っているんです。それだけ安く作ることができているということです。粗利率のように、利益の売上高に対する比率を一般に売上高利益率といいます。

 

売上高利益率を使うことで、他の会社との比較や過去との比較などをしやすくなります。粗利が4,118億円というだけでは、高い数字なのか低い数字なのかわかりませんが、粗利率が57.4%であれば、目安の25%より高いということが簡単にわかります。

 

これから先もいろいろな「率」が出てきますが、ぜひ「率」で数字をつかむことに慣れていってください。

 

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    公認会計士

    1971年生まれ。東京大学経済学部卒業。日本興業銀行(現みずほ銀行)にて融資業務、決算業務に従事。財務コンサルタントを経て独立し、M&A仲介会社を設立。約30年間にわたり、銀行員、コンサルタント、M&Aアドバイザーといった多面的な実務経験を通じて決算書を読み続け、決算書のエッセンスを見極める手法を確立した。脳と言葉の技術であるNLPにも精通しており、現在は、心と数字のわかるコンサルタントとして活躍している。著書に『「会社の数字」がみるみるわかる! 決算書のトリセツ』『脳と言葉を上手に使う NLPの教科書』(実務教育出版)などがある。

    著者紹介

    連載社会人なら知っておきたい!企業の経営状況が手に取るように分かる「決算書を読む方法」

    ※ 本連載は、前田忠志氏の著書『「会社の数字」がみるみるわかる! 決算書のトリセツ』(実務教育出版)から一部を抜粋し、再構成したものです

    「会社の数字」がみるみるわかる!決算書のトリセツ

    「会社の数字」がみるみるわかる!決算書のトリセツ

    前田 忠志

    実務教育出版

    「決算書を読めるようになるのは、実は、結構簡単です。英語、IT、会計がビジネスパーソンの3大スキルなんて言われていますけれど、コスパが高いのは、会計です。」 決算書の読み方に関する本は数多くありますが、途中で挫折…

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