牛丼チェーン店のイスにはなぜ背もたれがないのか?吉野家がこだわる「お客さんがくつろげない」工夫 (※写真はイメージです/PIXTA)

「社会人のたしなみとして決算書を読めるようになりたい」と思っていても「実際には難しい」という声をよく耳にします。しかし、専門家を目指しているわけではないビジネスパーソンに必要なのは、会社が「儲かっているか」「つぶれないか」というシンプルな2つの要点を、決算書から読み取れるようになることです。銀行員、コンサルタント、M&Aアドバイザーと「決算書を読む」仕事に約30年携わってきた前田忠志氏が、わかりやすく紹介します。

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なぜ牛丼店のいすには背もたれがないのか?

飲食店では、1席当たりの客数を回転率といいます。30席の飲食店に30人のお客さんが来たら回転率は1回、60人のお客さんが来たら回転率は2回です。回転率の高い店というのは、座席数の割にお客さんが多い店で、その代表選手がファーストフードの牛丼店です。

 

牛丼店は客単価が安く、その分、多くのお客さんに来てもらいたいと思っています。ぱっと食べて、ぱっと帰ってもらう。そして、次のお客さんに来てもらう。お店としては、お客さんに長居されたくはありません。

 

そこで、お客さんがくつろげないように、さまざまな工夫をしています。お客さんにくつろいでもらう工夫ではなく、くつろげない工夫です。カウンター席になっていて、丸椅子で、背もたれのない少し高めの椅子。高めの椅子だと、人は落ち着かないそうです。もちろん、食後のコーヒーもありません。

 

郊外などでは、テーブル席で背もたれのある席を用意している牛丼店もありますが、典型的な牛丼店は、長居する人をターゲットにしていないんですね。

 

ちなみに、吉野家の1号店は15席。その店で年商1億円を目指すことにした吉野家の創業者の松田瑞穂氏は、1日1,000人のお客さんに食べてもらうことが必要だと考え、その仕組みを作り上げたそうです。なんと60回転以上にもなります。まさにお客さんが次々に回転しているようなイメージが浮かびます。

牛丼屋店舗と同じように、企業経営でも大事な回転率

この回転率という考え方は、決算書を見るときにも使います。売上高の総資産に対する比率を総資産回転率といいます。

 

総資産回転率=売上高÷総資産

 

総資産回転率の単位は「回」です。総資産が10億円で、売上高も10億円なら、10億円÷10億円=1で、総資産回転率は1回となります。総資産が10億円で、売上高が20億円なら、総資産回転率は2回です。

 

会社は、最初に現金があって、現金で商品を仕入れて、仕入れた商品を売って、現金が戻ってくる。その繰り返し。資産が回転して売上になっていくイメージを持つことはできるでしょうか。総資産回転率が高いほど、資産を効率的に使って売上をあげているということになります。

 

総資産回転率は業種によって違いますが、目安は1回、あるいは、1回をやや下回るぐらいです。ニトリの総資産回転率は、売上高7169億円÷総資産9270億円=0.8回となっています。

 

[図表1]

 

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    公認会計士

    1971年生まれ。東京大学経済学部卒業。日本興業銀行(現みずほ銀行)にて融資業務、決算業務に従事。財務コンサルタントを経て独立し、M&A仲介会社を設立。約30年間にわたり、銀行員、コンサルタント、M&Aアドバイザーといった多面的な実務経験を通じて決算書を読み続け、決算書のエッセンスを見極める手法を確立した。脳と言葉の技術であるNLPにも精通しており、現在は、心と数字のわかるコンサルタントとして活躍している。著書に『「会社の数字」がみるみるわかる! 決算書のトリセツ』『脳と言葉を上手に使う NLPの教科書』(実務教育出版)などがある。

    著者紹介

    連載社会人なら知っておきたい!企業の経営状況が手に取るように分かる「決算書を読む方法」

    ※ 本連載は、前田 忠志氏の著書『「会社の数字」がみるみるわかる!決算書のトリセツ』(実務教育出版)から一部を抜粋し、再構成したものです

    「会社の数字」がみるみるわかる!決算書のトリセツ

    「会社の数字」がみるみるわかる!決算書のトリセツ

    前田 忠志

    実務教育出版

    「決算書を読めるようになるのは、実は、結構簡単です。英語、IT、会計がビジネスパーソンの3大スキルなんて言われていますけれど、コスパが高いのは、会計です。」 決算書の読み方に関する本は数多くありますが、途中で挫折…

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