相手のステージか、第3のステージか
▶考えてみよう!「なぜ企画が通らない?」のケース
商品企画。これもステージを分析すると明確に見えてきます。やってみましょう。
A さん【企画案Aを説明したい】
この企画で絶対いけます。なぜなら、これだけの根拠があるからです。
B 先輩【企画案Bに従わせたい】
俺がこっちの企画だと言ってるんだ。俺は10年の経験があるんだぞ。生意気言うな。
これもありそうですね。
経験ありますか? あるとしたらあなたはどちらでしたか?
では、それぞれのステージを見ましょう。
Aさんは「根拠を示したい」のですね。
一方、B先輩は「先輩の経験則を示したい」のです。ステージが全く異なりますので、この2人の議論は平行線になります。
Aさんはこう思うでしょう。「B先輩って本当にわからず屋で困る。だって、これだけわかりやすく根拠を見せているのに理解できないなんて」
B先輩はこう思っているはずです。「Aは理屈ばかり言うだけだ。俺たち先輩が経験してきたことをまったく無視している」
AさんはなんとかB先輩にわかってもらおうと必死に根拠を説明しますが、B先輩は根拠のステージにいないのです。どんなに説明してもムダです。
B先輩はなんとかAさんを従わせようと必死ですが、Aさんは先輩の経験則というステージにはいないのです。どんなに従わせようとしてもムダです。
どちらかがステージを明け渡し、相手のステージに乗るか、まったく異なる第3のステージに移動するしかありません。
■「そもそも」はステージを明らかにする魔法の呪文
営業マンや商品企画のステージを分析しただけでこんなに話がスッキリするのです。ステージと登場人物(人物だけでない)を考えることがいかに重要かわかっていただけましたでしょうか。
話がお互いに通じないのはステージが違うだけなのです。不毛な戦いに使うエネルギーがあったら、お互いのステージの確認に使うほうが建設的です。
ステージを簡単に分析する魔法の呪文、それが「そもそも」です。会議や日常会話で「そもそも」を使えばいいのです。
魔法の呪文「そもそも」がステージを赤裸々にし、不毛な戦いを終わらせ、最適解、最大幸福、全会一致への最初の道を開きます。
「今さら蒸し返すな!」と非難されることを恐れるあまり、自分の意見を飲み込んでしまう人が多いようです。あなたの「そもそも」発言が多くの人を救うかもしれないのです。空気を読んでる場合ではありません。恐れず「そもそもなんですけど……」と言う勇気を持ってください。
出来内くんの「ソースやきそばの買い置きがある」に対して、露地くんは「そもそも、それってどこのヤツ?」と屈託なく呪文を放ちました。
言われた出来内くんは心の奥で「なんかめんどくさい展開になりそうだな……」と思っていることでしょう。
でも、最適解のためには必要なことなのです。
そして……。
ステージが明らかになると、自然と次の展開に進みます。今まで見えてこなかった並列関係にある新たなステージが見えてくるのです。
谷藤 賢一
株式会社C60代表取締役
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