(※画像はイメージです/PIXTA)

米国で10日に発表されたCPI(消費者物価指数)と、15日に発表されたPPI(生産者物価指数)により、米ドル/円は一時137円台まで円高が進みました。しかし、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は「再び米ドル高・円安へ戻す可能性もある」といいます。それはなぜか、みていきましょう。

米ドル買いポジション手仕舞いの米ドル売り

ただ先週の段階では、米ドルは結局141円すら超えられず、上値の重さも目立つところとなりました。これは、年末にかけてポジション調整の米ドル売りが続いている影響が大きかったのではないでしょうか。

 

これまで記録的なペースで米ドル高・円安が展開したことから、米ドル買いのポジションが大量に残っている可能性が考えられます。そんな米ドル買いのポジションを保有している投資家からすると、米ドルが大きく下がる前に売りたいと考えるでしょう。

 

これは、CPI発表後に米ドル下落を加速させた一因だった可能性があります。それとともに、先週も米ドル反発が鈍いと見ると、そういった米ドル買いポジションの手仕舞い売りが入って米ドルの上値を重くした可能性はあるでしょう。

 

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションを見ると、円の売り越し(米ドル買い越し)は、10月末の10万枚程度がこの間のピークで、先週は6万枚台となったため、ピークから3割以上も縮小となりました(図表3参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表3]CFTC統計の投機筋の円ポジション(2020年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

一方で、すでに見てきたように、CPI、PPI発表後もFOMCの利上げ姿勢は基本的に変わらず、このため12月FOMCでも0.5%の利上げが予想され、さらに年明け以降も5%以上へ一段とFFレートは引き上げられるとの見方が強まっています。こういったことから、米2年債利回りも、一時4.3%台まで低下したものの、再び4.5%まで反発、さらに上昇する可能性も出てきました(図表4参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表4]FFレートと米2年債利回り(2018年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

そういった米金利上昇を手掛かりとした米ドル買いが、ポジション調整の米ドル売りとの綱引きのなかで、どこまで米ドル高・円安へ戻すことができるかが、当面の焦点ということではないでしょうか。

 

今週は、23日が日本の祝日、そして24日は米国が感謝祭で休場となるなど、週の半ば以降は商いが薄くなる可能性がありそうです。そういったなかで、米ドル/円は138.5~142.5円中心のレンジで、米ドル高・円安への戻り余地を探る展開を予想したいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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