「11月22日~28日のFX投資戦略」のポイント
〈ポイント〉
・先週は米ドル底固く推移。CPI、PPI発表後もFOMC利上げ姿勢に著変ないことが確認され、米金利も反発気味の展開となった影響が大きそう。その一方、米ドルの上値も重かった。ポジション調整の米ドル売りが影響した可能性。
・今週は、感謝祭関連で週半ば以降薄商いが予想される。そのなかで米ドル/円は138.5~142.5円中心のレンジで、米ドル高・円安への戻り余地を探る展開を予想。
市場の反応が「CPI後」と「PPI後」とで違った理由
先週の米ドル/円は、15日に発表された米10月PPI(生産者物価指数)が予想を下回ったことをきっかけにこの間の米ドル安値を更新、137円台まで急落しました。ただ、米ドルはすぐ反発に転じ、その後は140円前後での一進一退となりました。
このように、CPIとPPIの発表後、同じ米ドル安の動きでも幅に大きな差が出たのはなぜなのでしょうか(図表1参照)。
これは、CPI発表後は、それまで約20日間145~150円中心で方向感の乏しい展開が続いていたところから、145円割れで米ドルが保合いを下放れたことによって勢い付いた、つまりテクニカル要因の影響が大きく、CPI発表後の米ドル急落は、CPIの結果以上に増幅された動きの可能性があったということです(図表2参照)。
また、先週米ドルが比較的底固い展開となったのは、CPI、PPIがともに対前年同月比上昇率が予想を下回ったものの、FOMC(米連邦公開市場委員会)のインフレ対策の利上げ姿勢には大きな変化がないことが確認された影響も大きかったでしょう。
たとえば、17日には複数のFOMCメンバーの発言がありましたが、そのなかでセントルイス連銀のブラード総裁は、「ターミナル・レート(政策金利の最終到達水準)は最低でも5~5.25%」との見方を示しました。また、比較的「ハト派」とされるミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も、「利上げ終了を提案するような状況にはなっていない」と述べました。
図表2のように、米ドル/円と米2年債利回りのこれまでの関係からすると、米ドルの140円割れは、金融政策を反映する米2年債利回りが4%を大きく下回るまで低下したことを織り込んだ動きと言えるでしょう。言い換えれば、米ドルの140円割れは、現行4%のFFレートの引き下げを織り込む動きということです。
以上のように見ると、CPI発表後の米ドル急落は、テクニカル要因などから増幅された過剰反応の可能性が高く、FOMCの利上げ見通しに変わりないことが確認されたことにより、今後は米金利との関係からすると米ドル「下がり過ぎ」と見られる分の修正で米ドル高・円安へ戻す可能性もあるのではないでしょうか。
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