(※画像はイメージです/PIXTA)

11月10日、米国で10月のCPI(消費者物価指数)が発表されると、米ドルが対円で急落、土曜日までの2日間でおよそ8円の円高となりました。はたして「歴史的な円安相場」は151円をピークに終焉を迎えたのか、このまま「米ドル安・円高」が進むのか……マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が、過去の類似相場と比較しながら、米ドル/円について今後の動きと予想レンジを解説します。

「11月15日~21日のFX投資戦略」のポイント

〈ポイント〉

・先週、10日CPI発表をきっかけに、米ドル/円は一気に138円台まで急落となった。今回と比較的近い例として150円近くで米ドル高・円安が終わった1998年の場合は、その後ほんの2ヵ月で110円割れ近くまで米ドル急落が広がった。

・今回と1998年の大きな違いは米金融政策。1998年の場合はFRBが緊急利下げに転じたことが米ドル一段安の一因と考えられたのに対し、今回はまだ利上げが続く見通しとなっていることを考えると、米ドル安は限られるのではないか。

・以上を踏まえた、今週の米ドル/円予想レンジは137~142.5円。

米CPIを受けて米ドル急落…円安相場は終了か

先週の米ドル/円は、注目された10日発表の米10月CPI(消費者物価指数)の対前年上昇率が予想を下回ったことをきっかけに米金利が大きく低下したことに連れた形で下落が広がると、週末には一気に138円台まで一段安となりました(図表1参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表1]米ドル/円の週足チャート(2022年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

では、この米ドル安・円高はどこまで広がるかについて、円安トレンドが終わると一転して円高へ急転換となった1998年のケースとの比較で考えて見たいと思います。

 

結論から言うと、今回は1998年とは異なり、円高の拡大には限界があるのではないかと考えています。

 

1998年は、長く続いた米ドル高・円安が147円で終わると、その後は約2ヵ月で110円割れ近くまで激しい米ドル安・円高の動きとなりました(図表2参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表2]米ドル/円の推移(1998年) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

これまでのところ、今回の円安は10月の151円で終わった可能性が出ています。では、今回も1998年のようにこのまま短期間で110円程度まで米ドル/円の急落は拡大に向かうのでしょうか。

 

次ページ米ドル/円は1998年と同じ道を辿るのか?

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