同じ炭水化物でも「パン」と「ごはん」では大きな差が
脳のエネルギー源として最適なのが玄米脳のエネルギー源として不可欠なのが、先にも述べた通り、ブドウ糖の原料になる炭水化物の主食です。主食はできるだけ、お米を炊いたごはんにしましょう。
同じ炭水化物であればパンでもかまわないのでは、と考える人もいるかもしれませんが、今日本で食べられているパンの大半は、精製した小麦粉のパンです。このようなパンは消化吸収がとても早く、食べてすぐに血糖値が急上昇してしまいます。
すると、上がり過ぎた血糖値を下げようとインスリンが大量に分泌され、場合によっては食べる前より血糖値が下がってしまうことがあります。つまり「低血糖症」の恐れがあるということです。
特にパンにたっぷりジャムをつけて食べるという食べ方は、糖分が過剰になり、脳にとっては最悪です。どうしてもパン食がいいというときは、バターを少量つけるのがいいでしょう。炭水化物と一緒に脂質を摂ることで、消化吸収の速度が遅くなります。
それに対して、お米のごはんは消化吸収がゆっくりです。朝食にごはんを食べたときとパンを食べたときとでは「ごはんのほうが、腹持ちがいい」と感じた経験はないでしょうか。
ごはんには、食物繊維のような働きをもつ難消化性でんぷんが含まれているため、パンに比べて消化吸収に時間を要します。そのため血糖値の上昇もゆるやかで、脳の活動に適した血糖の状態が長く持続する、という特徴があるのです。
子どもに午前中の授業時間の間、しっかり頭を働かせてほしいと考えるのであれば、朝食にはごはん食をおすすめします。
栄養価に優れた「玄米」を主食とすることが望ましい
さらに普通の白飯よりも、栄養的にはるかに優れているのが玄米です。精製の過程を経ていない玄米には、発芽のための栄養が詰まった胚芽などが残っており、ビタミンB群やマグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。
また玄米に含まれるフィチン酸、フェルラ酸といったフィトケミカルは、化学物質や体内の有害物を排出したり、無害化したりする力をもっているといわれます。
玄米の栄養価の高さは、広く知られてはいるものの、常食としている人はまだ多くありません。自宅で炊くには手間がかかりますし、玄米を出す食堂もまだまだ珍しいです。
玄米のすばらしさは、ほとんどの人たちが知ってはいるのですが、実際にはなかなか広まっていないのが現状です。炊くのが面倒だったり、食べにくかったり、また外食のときなど、玄米を用意してくれている食堂やレストランは多くないと思います。
ちなみに私自身も、ずっと以前から玄米を入れた雑穀米を主食にしているのですが、出張や会議、宴会などが多く、玄米を食べられないことが多いのです。
どうしたものかと困っていたとき、すばらしいものに出合ったのです。北海道発の、玄米を精製して、とった胚芽の栄養分を顆粒状にしたものです。これを食べると、白米の足りない部分をすべてカバーしてくれるのです。食物の保険みたいなものですね。私はこれを常に持参して、食事のときに必ず食べるようにしています。
玄米の風味が苦手な方におすすめしたいのが、胚芽米に押し麦などを加えた雑穀ごはんです。白米に不足するビタミン・ミネラルを補うことができます。私の主食は、この雑穀ごはんです。
もう一つ、簡単に玄米をとる方法としておすすめな食品が〝玄米板もち〟です。食べたいときに食べたい量を切り取ってオーブンで焼くと、ふっくらとおいしいおもちが出来上がります。私は通信販売で取り寄せ、味噌汁の中に入れたり、お正月にも、白米の板もちではなく玄米板もちを食べたりしています。
筆者の学校の寮の食事でも、主食のごはんは白飯と、玄米入り雑穀ごはんの2種類をできるだけ用意しています。生徒たちは寮に入った最初のうちは白飯ばかり食べていますが、やがて日本食の味に慣れてくると、雑穀ごはんが好きになる生徒が出てきます。日本食を食べていると味覚も敏感になり、体にいいものを自然においしいと感じられるようになるのでしょう。