前回に引き続き、バランスの良い食事を摂るために覚えておくべき言葉、「まごわやさしいこ」について紹介します。今回は、「こ」の食材について見ていきましょう。

食物繊維も摂取できる漬物などの発酵食品

最後の「こ」は、酵素や乳酸菌による発酵食品のことです。漬物や味噌など日本に昔から伝わる発酵食品は、そのなかに含まれる乳酸菌の働きで、腸内環境のバランスを整えてくれます。

 

乳酸菌が腸の健康に良い、ということは皆さんよくご存じだと思います。乳酸菌が摂れるということで、年々売上を伸ばしている食品があります。そう、ヨーグルトです。乳という字から連想するのか、乳酸菌といえばヨーグルトと決めつけてしまっている人が多いようです。

 

実は乳酸菌には、ヨーグルトやチーズに含まれる動物性乳酸菌と、味噌や醤油、漬物などに代表される植物性乳酸菌があるのです。そして植物性乳酸菌は胃酸などの過酷な環境にも強く、生きたまま腸に届きます。そのため腸内環境を改善する力は、動物性乳酸菌よりもずっと優れているのです。

 

特に野菜の漬物は乳酸菌を豊富に含み、それぞれの野菜がもつ食物繊維などの有効成分も加わって、腸内の有害菌の活動を強力に抑えると言われています。

 

それに対してヨーグルトなどの動物性乳酸菌は、食物繊維をほとんど含んでいません。食物繊維は乳酸菌とともに、腸内環境を改善するうえで欠かせない存在です。漬物のような植物性乳酸菌の発酵食品は、乳酸菌と食物繊維の両方が一度に摂れるという、まさに一石二鳥の優れものなのです。

植物性乳酸菌の摂取量減少により「大腸ガン」が増加!?

しかし、悲しいことに1980年代後半を境に、日本人の植物性乳酸菌と動物性乳酸菌の摂取量は完全に逆転してしまいました。このことにより、大腸がんが増えたという研究発表もあるのです。もっと漬物を見直して、毎日の食卓の友にしたいものです。

 

漬物というと塩分を気にする人もいますが、最近は血圧対策に減塩・低塩が叫ばれるようになっているため、現在の平均的な漬物の塩分量は20年前の4.5%から、2.3%へと、ほぼ半減しています。腎臓の病気などがない人であれば、それほど気にしなくてよさそうです。

 

おいしい漬物は各地にたくさんあります。ぬか漬、しば漬、野沢菜漬、つぼ漬、ショウガ漬など、それぞれの地域で伝わってきた多種多様なものがあります。ただし市販の廉価なものは添加物や化学調味料主体のものが多いので、塩やぬか、麹、昆布などシンプルな材料で漬けた本物の漬物を選ぶようにしてください。

本連載は、2015年11月26日刊行の書籍『学力は「食育」でつくられる。』から抜粋したものです。記載内容は予防医学の観点からの見解、研究の報告であり、治療法などの効能効果や安全性を保証するものではございません。

学力は「食育」でつくられる。

学力は「食育」でつくられる。

池上 公介

幻冬舎メディアコンサルティング

勉強は「基礎が大事」と言われます。基礎がきちんとしていなければ、その上にいくら知識を積み上げても結局崩れてしまいます。同様に、学習に取り組む意欲や自己を律する自制心、困難に負けずに学び続ける気力・体力も大切です…

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