(※写真はイメージです/PIXTA)

北朝鮮が日本に電磁パルス攻撃をしかけたタイミングで、中国が台湾に侵攻する恐れがあります。すでにそのリスクは高まっているのかもしれません。その最悪のシナリオはどのように行われるのでしょうか。元・陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏が著書『日本はすでに戦時下にある すべての領域が戦場になる「全領域戦」のリアル』(ワニプラス)で解説します。

EMP攻撃は「核攻撃ではない」という主張

このシナリオでは、中国は、台湾を守るために接近している米国の空母打撃群を中心に30㎞の爆発高度で核兵器を爆発させる。EMP影響圏は半径600㎞に及び、台湾全体をカバーする。ピークのEMP影響圏は、米国の空母打撃群を覆い尽くす。空母打撃群は、EMP効果に対して部分的にしか防護されていない。

 

一方、EMP影響圏は中国にまで及んでいないので、攻撃作戦と侵略を遂行する解放軍は影響を受けない。

 

EMP攻撃の結果として、台湾の電力網などの重要なインフラ(通信、輸送、食糧、水)は長引く停電の影響を受ける。台湾の軍事通信の一部はEMP攻撃から保護されていると伝えられているが、その軍事力のほとんどはEMPに対する防護が強化されていない。航空機、戦車、大砲、トラック、兵站列車は機能しなくなる。

 

別のシナリオはより野心的で、米国の空母打撃群または東アジアにEMP攻撃を集中させるというものだ。185㎞の高高度で核兵器を爆発させると、半径1500㎞のEMP影響圏が生成される。これは、台湾の全域、フィリピン全域、米国領土とグアムの海軍基地を含む太平洋側から台湾への侵入をカバーするのに十分だ。

 

このEMP攻撃は、南シナ海に対する中国政府の主張に反対しているフィリピンとグアムに拠点を置く米軍に影響を及ぼす。中国が太平洋で米国の空母打撃群の位置を正確に特定できない場合、より大きなEMP影響圏がその問題を解決し、米国政府の介入に警告を発する、より大きなメッセージを送ることになる。

 

EMP攻撃で厄介なのは「高高度で核爆発をおこなうために、地上で人体に有害な影響は発生しない。だから核攻撃ではない」という中国やロシアの主張だ。彼らがEMP攻撃をおこなうハードルは高くないと覚悟すべきであろう。

 

渡部 悦和
前・富士通システム統合研究所安全保障研究所長
元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー
元陸上自衛隊東部方面総監

 

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本連載は渡部悦和氏の著書『日本はすでに戦時下にある すべての領域が戦場になる「全領域戦」のリアル』(ワニプラス)より一部を抜粋し、再編集したものです。

日本はすでに戦時下にある

日本はすでに戦時下にある

渡部 悦和

ワニブックス

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