「ワンルーム投資失敗」で破綻寸前…でも「高値での物件売却」に成功したワケ

都内の新築ワンルームマンションを投資目的で購入した後藤さん(男性・40代※仮名)は、赤字に陥り、物件価格が低すぎて売却もできず、破綻寸前でした。相談を受けた不動産エージェントCは、賃料が格安なうえ「サブリース契約」で手数料が引かれていることを知り、まず「サブリース」を解約し賃料を値上げすることを提案しました。いずれの交渉もうまくいき、物件は黒字化し、改めて売却の是非を判断することになりました。

満を持しての売り出し

対サブリース会社と対入居者、投資物件としての魅力を引き上げる2つの交渉が計画どおり完了しました。この時点で後藤さんともう一度、売却の意思を確認する場を設けました。8万円だったワンルーム家賃収入が9万5,000円に上がり、今なら維持費やローン返済額を差し引いても黒字です。

 

収益物件として持ち続ける価値は十分にありました。

 

とはいえ、今後も修繕費積立金など諸経費が増していくことは間違いないので、黒字がいつまで維持できるか定かではありません。今後の人生プランを加味すると、やはり売るのが得策という結論に落ち着きました。

 

改めて査定を行ったところ、残債とほぼ同額である2,300万円前後でも十分に売却が可能であると算出できました。いよいよ2,300万円に価格を決め、売り出し開始です。

 

売り出し広告を作成し、購入希望者を幅広く募集できるよう、レインズにも「広告掲載可」で情報を開示しました。不動産仲介会社から問い合わせがきたら関連資料をすべて提供するよう動きます。エージェントCのコネクションもフル活用し、投資用不動産を紹介している不動産仲介会社にも問い合わせ、本物件を広告してもらうよう要請しました。

 

東京都世田谷区の収益物件でしたが、都外からの問い合わせも多く寄せられました。

 

千葉県のとある不動産仲介会社は、なかなか現地にまで足を運ぶ機会がないようでした。そこでエージェントCから、物件の写真や周辺の情報など、顧客へのアピール材料となりそうなデータをすべて提供しました。まさかここまでの情報をもらえると思っていなかったようで先方に恐縮されるほどでした。

 

エージェントCの徹底した広告活動が功を奏し、売り出し直後の反響は上々でした。ただ、今すぐ買いたいというほどの積極的な方は現れませんでした。売り出しから1週間、広告掲載の要請はあっても、購入申し込みまでには至らなかったのです。

 

後藤さんからの心配の電話が毎日のようにエージェントCのもとに届きましたが、その都度、必ず申し込みの問い合わせは来ると繰り返し、売り出し直後の1週間は不動産の情報を正しく周知させることが大事であることを丁寧に伝えました。

 

そうして、買い手候補から最初の申し込みがあったのはそれから数日後のことでした。1人目の要望額は2,200万円で、売り出し価格よりも100万円ほど安い額での申し込みです。後藤さんに報告したところ、よかったと安堵の声を漏らしたあと、当初の査定よりも300万円も上なのだからその方に売ってもいいのでは、という返事がありました。

 

しかしエージェントCは、もう少し待つべきだと説き伏せました。広告を出して以降、反響は日に日に増える一方で、注目度は確実に高まっています。その反響のなかに、本不動産に2,200万円以上の価値を感じて申し込んでくれる方がいるという手応えをエージェントCは感じていたのです。

 

いっさい反響や連絡がなければ2,200万円で決着することもできますが、反響が止まない以上、ここで決めるのはまだ早い。これまでも時間をかけて売却価格アップに奔走してきたため、ここも少し粘るべきだと考えていました。

 

さらに数日経ち、ついに2,250万円の申し込みがありました。広告を出した直後に問い合わせのあった、千葉県の不動産仲介会社でした。ここからがエージェントの腕の見せどころ、不動産仲介会社との折衝タイムです。こちらとしては満額の2,300万円で売りたいと再交渉を申し出て粘りを見せたところ、最終的に2,280万円に落ち着くことができました。

 

売り出しスタートから半月ほどという、スピーディな取引成立でした。近隣ではなく千葉県と遠方の方が購入したことは、意外ともいえる結果でした。

 

もしも、売主と買主と双方から手数料を受け取るために物件の「囲い込み」を狙って近隣街中での広告掲示や、都内に絞った営業など、狭いテリトリーでの販売活動で済ませていたら、この価格での売却は叶いませんでした。

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    さくら事務所 代表取締役社長
    らくだ不動産株式会社 代表取締役社長
    だいち災害リスク研究所 副所長

    大西 倫加(おおにしのりか)広告・マーケティング会社などを経て、2003年さくら事務所参画。同社で広報室を立ち上げ、マーケティングPR全般を行う。2011年取締役に就任し、経営企画を担当。2013年1月に代表取締役就任。2008年にはNPO法人 日本ホームインスペクターズ協会の設立から携わり、同協会理事に就任。10年間理事を務め、2019年に退任。2018年、らくだ不動産株式会社設立。代表取締役社長就任。2021年、だいち災害リスク研究所設立。副所長就任。不動産・建築業界を専門とするPRコンサルティングも行っており、執筆協力・出版や講演多数。

    著者紹介

    さくら事務所 会長
    らくだ不動産 会長

    1967年生まれ。不動産コンサルタント。広告代理店、不動産デベロッパーの支店長・不動産売買業務を経験後、業界初の個人向け不動産コンサルティングを行う、株式会社さくら事務所を設立。らくだ不動産株式会社の会長も務める。

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    大西 倫加,長嶋 修

    幻冬舎メディアコンサルティング

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