(※写真はイメージです/PIXTA)

思考とは、知識を覚えることではありません。知識や事象を疑って、しっかりとその背景を理解することです。これをどんなふうに身につけるのか、そこには考え方の「型」があります。現役の東大生の永田耕作氏が著書『東大生の考え型 「まとまらない考え」に道筋が見える』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

目の前にあることをそのまま受け入れない

■思考とは何なのか

 

さて、今回紹介する「9つの力」について説明しました。ここでみなさん、1つ気づいたことはありませんか?

 

そうです、この9つの力の中には、「思考力」がないのです。

 

なぜ「思考力」のパートがないのか。その理由は単純で、思考力は上の9つの力すべての下支えとなる力だからなのです。

 

では、この思考力とはどのようにして身につくものなのか、ここから先は少し「思考」について考えてみることにしましょう。

 

みなさん、「思考」ってなんでしょうか? この本のタイトルは「東大生の考え型」で、考えていろいろなことに結論が出せるようになることがゴールです。でも、そもそも考えるってどういうことなんでしょう。

 

僕の答えは、「目の前のことを、そのまま受け取らないこと」です。

 

例えば、僕らはよく「うそだ」と言うことがあると思います。嘘、というのは言葉通りに受け取ると「本当は違っていること・間違っていること」という意味ですね。辞書で調べてそう書いてあるのだから、そうに違いありません。

 

ですが、僕らが「ねえ! 英検1級合格した!」「うそ!? すごい! おめでとう!」という会話をしているとき、「本当は間違っている」という意味で使っているでしょうか?

 

違いますよね。このときの「ウソ」は「ほんとうに?」という意味ですよね。辞書にそんなことが書いてなかったとしても、僕らは「ウソ」を「ほんとうに?」と使っているのです。

 

みなさん、これが頭を使うということです。ただ目の前にあることを、そのまま受け入れない。きちんと裏の意図や、その背後に隠れている背景や前提や流れを理解すること。これこそが「頭を使う」「考える」「思考する」ということなのです。

 

東大生は、この能力が高いです。なぜなら東大で出題される多くの問題は「目の前のことをどう解釈するか」が聞かれるからです。ただの知識を問う問題はほとんどと言っていいくらい出ません。

 

そんなものよりも、むしろ「この、参考書だったらいつも見かける有名な公式、これは一体なぜ成立するのかわかりますか?」とか「中学レベルで習うこの英単語、何百回と見かけたことがあると思うけど、本当はどういう意味なのかわかりますか?」など、「当たり前を問う」問題が多いのです。

 

そのため、東大生は「知識の食べ方」が上手なのです。いろいろな知識や覚えたことを結びつけて考えることで忘れにくくしたり、もっと違うフレームで考えて説明したり、思考力があるからこそできることが多いんですよね。

 

思考とは、知識を覚えることではありません。知識や事象を疑って、しっかりとその背景を理解することです。

 

これをどんなふうに身につけるのか、その「型」についてお話します。どんなふうに頭を使えばいいのか、どうすれば目の前のことだけではなくいろいろなことがわかるようになるのか、フレームワークで理解できるように紹介していきます。

 

ここから、先ほど挙げた9つの力について、9パートで合計29個のフレームワークの型を紹介していきます。それぞれのフレームワークの具体的な記入例や、勉強や仕事への活用方法などを準備させていただきました。

 

このフレームワークをなぞっていくだけで、自然と「自分の頭で考える力」が身についていきます。今まで「自分には思考力がない」と諦めていた人も、これを読んだらきっと、雑多な物事を整理できるようになるでしょう。

 

永田 耕作
現役東大生

 

 

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本連載は永田耕作氏の著書『東大生の考え型 「まとまらない考え」に道筋が見える』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

東大生の考え型「まとまらない考え」に道筋が見える

東大生の考え型「まとまらない考え」に道筋が見える

永田 耕作

日本能率協会マネジメントセンター

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