(写真はイメージです/PIXTA)

歴史的な円安の終着点はまだ見えてきません。金融市場の振り返りと今後の見通しについて、ニッセイ基礎研究所 上野剛志氏の分析です。

3. 金融市場(10月)の振り返りと予測表

10年国債利回り

10月の動き(→) 月初0.2%台半ばでスタートし、月末も0.2%台半ばに。

 

月の下旬にかけて、米利上げ長期化観測に伴って米長期金利が上昇基調となり、本邦長期金利の上昇圧力となった一方、日銀による0.25%での連続指値オペによって強制的に上昇が抑え込まれたことで0.25%付近での極めて膠着した推移が継続した。この間、6日から4営業日連続で10年債の取引が不成立になるなど取引の不成立が頻発し、市場機能度の低下がうかがわれた。月の終盤には、米利上げ観測の後退や日銀の金融緩和維持決定を受けて若干低下したものの、月末も0.2%台半ばで終了した。

 

【図表11、12、13、14】日米長期金利の推移(直近1年間)/日本国際イールドカーブの変化/日経平均株価の推移(直近1年間)/主要国株価の騰落率(10月)

ドル円レート

10月の動き(↗) 月初144円台後半でスタートし、月末は148円台前半に。

 

月初、米経済指標の悪化やRBAの利上げ縮小を受けて米利上げペースの減速観測が台頭し、5日に143円台に下落。政府・日銀による為替介入への警戒感も円の下支えに。しかし、その後は米労働需給の逼迫を示す指標が続いたほか、FRB要人による利上げに前向きな発言等を受けて米利上げ長期化観測が高まりドル高基調となり、12日には146円台に上昇。さらに米CPIが予想を上回ったことでドル高に拍車がかかり、21日には150円の大台に乗せた。その後は、同日夜と翌24日の朝に政府・日銀が大規模覆面介入を実施したとみられるほか、米有力紙の報道等を受けて米利上げ縮小観測が台頭し、24日には146円付近に一旦下落した。月末は日銀の金融緩和維持を受けて再び円安の動きが強まり、148円台前半で終了した。

 

【図表15、16】ドル円レートの推移(直近1年間)/ユーロドルレートの推移(直近1年間)
 

ユーロドルレート

10月の動き(↗) 月初0.97ドル台半ばでスタートし、月末は0.99ドル台前半に。

 

月初、英国の財政懸念後退や米利上げペース減速観測を受けて、5日に0.99ドル台に乗せたものの、欧州経済の悪化懸念の高まりや米国の労働需給逼迫を受けた利上げ観測を受けて下落し、10日には0.97ドル台に戻る。その後は米CPI上振れ・利上げ長期化観測に伴うドル高圧力と、英財政懸念後退に伴うユーロ高圧力が交錯する形で0.97ドル~0.98ドル台での推移が継続。下旬には米有力紙の報道等を受けて米利上げ縮小観測が台頭し、26日には1ユーロ=1ドルのパリティを回復。月末はユーロ圏の物価上昇率加速を受けてユーロが弱含み、0.99ドル台前半で終了した。

 

【図表17】金利・為替予測表(2022年11月4日現在)

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年11月4日に公開したレポートを転載したものです。

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