中国の食料輸入額は5年で3倍の伸び
■食料・エネルギー問題でのチャイナ要因
食料やエネルギーの高騰は投機が原因になっています。その投機には〝理由〞が必要になります。理由なしに巨額の資金は集まってこないし、資金が集まってこなければ投機が成り立たないからです。その理由は必ずしも事実である必要もなく、ただ多くの人が納得し、大きな資金を動かすきっかけになればいいのです。
そのきっかけになる大きな要因に、中国(チャイナ)の存在があります。チャイナ要因は投機を呼ぶのです。
中国における食料輸入額の推移を調べてみると、ここ5年間くらいで3倍にも膨れ上がっています。ものすごい勢いで増えているのです。
一方で、中国国内の食料生産の推移を調べてみたら、こちらは横ばいでした。増えていません。それでも中国の食料自給率は95パーセントくらいを保っています。日本の2020年度の食料自給率(カロリーベース)は37パーセントでしかないので、中国はかなり高い自給率です。それでも輸入を急激に伸ばしているのは、いまひとつ正確な理由はわからないのですが、高級志向が高まったとか、色々な意見が述べられています。
ただ、中国の食料輸入が急激に増えていることだけは事実です。理由が断定できないことに輸入量が増えているという事実を照らし合わせると、「まだまだ増えるだろう」との思惑が生まれます。この思惑に便乗すれば儲けのチャンスもあるということで、投機が起きます。
穀物価格高騰による物価高騰の大きな要因としてチャイナ要因もある、と私は考えています。このチャイナ要因はしばらく続く可能性が高く、資金がダブついてくれば、穀物相場を押し上げる要因になるはずです。
原油価格も、チャイナ要因が大きく影響することがあります。リーマン・ショック前の2004年から2008年にかけて、米国での住宅バブルに翳りが見えはじめ、新たな行き場を求めていた資金が原油市場に流れ込みました。それによって、世界的に原油が高騰していきます。
ここでも、チャイナ要因がきっかけになったと言われています。
中国が原油の輸入量をものすごい勢いで増やしていくとの見方が広まり、そうなると原油の国際価格が高騰するとの思惑が生まれ、これを利用して儲けようとして投機が始まったのです。
資金が流れたのは、原油の先物取引市場でした。価格変動のリスクを回避するために将来のある時期に商品をある一定の値段で売り渡す契約が先物取引で、契約の値段より実際の売り渡し時期の値段が上がっていれば、その差額が利益になります。契約時と売り渡し時期の価格差が大きければ大きいほど、利益は大きくなるわけです。
原油先物市場の年間取引額は、ニューヨーク証券取引所の1日分くらいの規模でしかありません。それだけに、少ない資金で簡単に値段が上がってしまいます。少ない資金で投機が可能になるわけです。投機を行える金持ちにとっては、絶好の稼ぎ場だとも言えます。
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