(画像はイメージです/PIXTA)

未婚のカップルや事実婚の夫婦の子どもは、父親が認知をすることで法的な親子関係が生じ、子どもに対する扶養義務が発生します。それに伴って養育費の支払いや相続権が発生するため、父親が拒否するケースも多く、母親と認知についてトラブルが生じることもあります。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、子どもの認知について礒野史大弁護士に解説していただきました。

子どもの認知を拒否し、堕胎を要求してきた彼氏

相談者のマイカさん(女性・仮名)は、現在交際中の彼氏との子を妊娠しています。

 

彼氏からは「一緒に育てたい。子どものために仕事を頑張る。だけど籍は入れたくない」と言われています。

 

そこで、マイカさんは彼氏に「子どもを認知し、養育費の取り決めついては公正証書にしておきたい」ということをLINEで伝えました(養育費は月4万円を提示)。すると彼氏から「いま他の子どもの養育費を支払っており、この養育費では自分の生活が成り立たない」「別れたい。子どもは堕ろしてほしい」と言われてしまいました。

 

この時までマイカさんは彼氏に他の子どもがいたことを知らず、また言っていることが二転三転しており、振り回され精神的にとてもショックを受けています。

 

しかしマイカさんはせっかく授かった命だから育てていきたいと思っており、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の3点について相談しました。

 

  1. マイカさんの状況で、彼氏に胎児認知をしてもらい、慰謝料と養育費を請求することは可能なのか。
  2. 万が一堕胎する事になった場合、その慰謝料は請求できるのか。
  3. 養育費の件について、出産前に調停を申し立てることはできるのか。

胎児認知によって法律上の父子関係が認められる

裏切られたことや将来への不安から、マイカさんの心中には様々なお気持ちがおありでしょう。

 

このような状況の中、授かった命を育てていかれるご決断をされたことは、とても勇気のある行動であると思います。

 

彼氏に慰謝料と養育費を請求することは可能なのか

マイカさんと彼氏さんは結婚されていませんので、子どもが生まれても、彼氏さんと子どもとの間の父子関係は当然には認められません。

 

しかし、彼氏さんが認知することで(胎児の間に認知することを胎児認知といいます。)、法律上の父子関係が認められ、父親として扶養義務が発生しますので、養育費を請求することが可能となります。

 

慰謝料を請求することが可能かどうかは個別の事情にもよりますが、出産したからといって、直ちに慰謝料を請求することができなくなるわけではありません。交際の期間や程度、相手方の対応によっては、婚約の不当破棄として慰謝料を請求することができるケースもあります。

 

堕胎した場合、慰謝料は請求できるのか

堕胎することになった場合は、慰謝料を請求することができる可能性があります。

 

過去の裁判例では、交際期間が約1年ほどと短くても、子を設ける予定で性交渉を重ねていたなどの事情も考慮し、100万円の慰謝料の支払いを命じたケースもあります。

 

出産前に養育費請求調停を申し立てることはできるのか

出産前に、養育費を請求する調停を申し立てることはできません。調停を申し立てるためには、未成年者の戸籍謄本も必要になります。

 

出産前の段階では胎児認知を済ませ、出産後にはすぐに養育費を請求する調停を申し立てられるよう準備されておくとよいでしょう。

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