贈与された土地の上に建てた家は財産分与の対象?
夫と離婚協議中のTさんは、婚姻中に祖父から生前贈与を受け、土地(田)を貰い、その土地を造成工事してマイホームを建てました。(名目は宅地に変更)
そのマイホームの財産分与について夫と話し合いを進めていますが、夫は「住めるように工事したのは自分であり、土地の価値があがった分の金額を折半するべきだ」と言っています。
土地自体はTさんの特有財産になるものの、Tさんが祖父から土地を貰ったのは家を建てるためだったので、夫の言い分も正しいのではと思っています。
そこで、このようなケースの財産分与はどのように考えるべきなのか、ココナラ法律相談「法律Q&A」に相談しました。
特有財産の価値の増加
特有財産とは、夫婦の一方が単独で有する財産をいい、原則として財産分与の対象となりません。
Tさんは、婚姻期間中に、Tさんが自己の名で祖父から土地(田)の生前贈与を受けているため、土地(田)は、特有財産に該当し、財産分与の対象とならないのが原則です。
しかし、夫婦の一方の特有財産であっても、夫婦の協力により、特有財産が維持管理された、または、その価値が増加した場合には、当該特有財産の維持またはその価値の増加に寄与したとして財産分与の対象となる場合があります。
Tさんの場合、祖父から生前贈与を受けた土地(田)を造成工事してマイホームを建て、土地の名目を「田」から「宅地」に変更しており、Tさんの夫が、マイホームの購入費用や住宅ローンの支払いを行っている等の場合には、Tさんの夫が、土地(田)の維持またはその価値の増加に寄与している評価される可能性があります。
その結果、Tさんの夫が主張するとおり、土地の価値が上がった部分の金額を折半すべきと判断される可能性があります。
財産分与の際、不動産の評価額はどの時点で決まる?
財産分与の対象となる財産が不動産等の場合、いつの時点の価値を基準とするかといった相談が多々ございます。
まず、財産分与とは、夫婦が婚姻後、離婚するまでに協力して形成した財産を清算する手続きであるため、対象となる財産は、婚姻共同生活の解消時点で存在する財産です。しかし、夫婦が離婚する以前に既に別居している場合、別居後は、夫婦の協力関係は終了しているため、原則として別居時となります。
他方、財産分与の対象となる財産の評価の基準時は、対象となる財産を分割する時点となります。
したがって、財産分与の対象となる財産の確定時とその評価の基準時は異なる点について注意していただければと思います。