ドライバー1人あたりの点呼時間5~10分を3分に!残業代圧縮を実現した「社長命令」とは?【運輸業のDX事例】

ドライバー1人あたりの点呼時間5~10分を3分に!残業代圧縮を実現した「社長命令」とは?【運輸業のDX事例】
(※写真はイメージです/PIXTA)

DXを「実施していて成果も出ている」日本企業は、わずか13.5%、ほとんどのDXプロジェクトが期待どおりになっていません。では、実際にDXを推進し、成功した企業はどのようなプロジェクトを実施したのか? 今回は社長命令を機に、ドライバー1人あたりの点呼時間5~10分を3分に短縮し、残業代圧縮を実現した事例を、DXコンサルタントである株式会社日淺の日淺光博代表が評価・解説します。

 

“DXコンサルタント”日淺氏によるプロジェクト評価

※プロジェクトの対応を☆により評価

 

【経営者の対応】★★★

事業拡大や売上の大幅アップは難しい状況ゆえ、管理部門の最重要課題はいかに少ない人数で効率的に業務をこなすかです。競合が多いなか選ばれる会社になるためにも、 コストを下げつつ安心・安全の体制を向上させることが必要と訴えるだけでなく、ロボットにまで着目できる経営者はまだ少ないはず。既存の枠組みにとらわれない柔軟な視点は、他社との差別化にも繋がります。

 

【DX推進担当の対応】★☆☆

特に中小企業で「社長が気になるから担当に指名された人が問い合わせする」というのは、よくある話です。それ自体は悪くないですが、ここでは推進担当というより現場の社員に近い行動をしています。推進担当は、サービスを選択する前にいくつか比較をしてから「なぜそれを選ぶのか」を踏まえて報告することを経営者から期待される立場なので、決定権が経営者にあったとしても積極的に取り組む姿勢が大切です。

 

【現場の社員の対応】★★☆

はじめは懐疑的な部分もあったと思いますが、実際にロボットで業務が回る姿をみて現場の態度も一変。このケースでは会社がロボットの導入を主導しましたが、より現場を巻き込んだ形で導入できれば、業務の移行もスムーズにできたはずです。

DXにより得られたインセンティブ

1人の点呼につき5~10分程度かかっていたため、帰りの車が集中する夕方には点呼待ちの列ができてしまい残業代が発生していました。点呼業務をロボットにしたことでドライバー1人あたりの点呼時間を3分にまで短縮でき、現場のストレスが軽減。

 

会社としても、人とロボットの2重チェックで厳格な安全運行を確保でき、残業代のコスト削減になり、管理者にとっても人的ミスの削減という成果が。データが集約されたことで管理もかなり楽になりました。

 

今回のケースからの学び

〈繰り返しの業務はロボットが代替する時代に〉

会社運営に欠かせない、法令で義務づけられた業務にもDXの波が押し寄せています。点呼業務をロボットでサポートする取り組みは、2021年9月から国土交通省での実証実験も始まり、最終的には乗務後点呼時に運行管理者が原則として同席しない状況で運用する、ロボットによる「自動点呼」まで進める予定です。

 

相談事例に示したように本人確認、アルコールチェック、免許証チェック、健康管理、指示伝達事項などを経て、鍵の受け渡しをします。

 

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難しい話はもういいんで DXがうまくいく方法だけ教えてください

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日淺 光博

サンマーク出版

DXを「実施していて成果も出ている」日本企業は、わずか13.5%。つまり、ほとんどのDXプロジェクトが期待通りになっていないということです。 その原因の多くは、じつは社内のすべての人にDXを推進することで得られるインセン…

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