クラウド化で作業効率を高め経費削減を
製造業
〈DX後の成果〉
出社率を3分の2に抑えても業務が回る体制を実現
DX遂行プロジェクトまでの企業内立場別の視点
■経営者・経営幹部の視点
毎月の繁忙期にシステムの反応が遅くなることが悩みでした。10年以上使っている現行システムは、財務会計、人事、生産管理などの基幹業務をすべて行っています。 現場からは何度も議題に上っていますが「業務が進んでいるなら大きな投資は不要じゃないか」というのが、経営陣としての結論です。
■DX推進担当の視点
業績が順調に伸びて生産量や人が増えたこともあり、システムのレスポンスが著しく遅くなって業務が進まないとの現場からの声が、日に日に強くなっています。それを思いきって役員会に上申しました。
しかしITに疎い役員陣にシステムの話をストレートにしても「費用がかかる」「いまのままで十分」といわれるのがオチ。現行システムを導入したときの責任者は、すでに退職されています。役員陣に首を縦に振ってもらうために、さらに業績が伸びるという視点でプレゼンテーションすることを考えました。いま起きている問題を「見える化」できるだけでなく、データを経営にも活用できるという流れです。
どうしたらこれを実現できるかIT部門の責任者に相談すると「我々も考えているが、いまのシステムの維持で手一杯だからねぇ。実現するとしたらクラウド化を検討したほうがいいと思うよ。具体的になれば相談に乗るから」とのこと。現場もよくなって経営陣にも受け入れられる方法はないか、と模索する日々が続きます。
ある日、直属の上司である役員に「いま業務改善を行わないと今後ますます課題が大きくなります。1ヵ月後の役員会までにプランをまとめるので、発表の場をいただけませんか」と提案しました。
その場で了承を取りつけ、うれしいアドバイスもありました。「DXは社長も関心があるから聞いてくれると思うぞ」と。少しだけ光明が見えましたが、役員陣に伝えるべきDXとは、経営者はどんなことに関心があるか、など要点をまとめないと。まずは現場の実情を改めて確認することにしました。
■現場の社員の視点
これまで何度も 「システムなんとかなりませんか」「システム以外で管理しているエクセルまで重くなって業務が進みません」という声は挙げてきましたが、1年以上も改善されませんでした。コロナ禍でも出社しないと仕事にならず、社員の不満も募る一方に。ほとんど期待していませんが、改めて現場の声を聞いてくれるということで、業務画面を見せながら詳細の説明をしました。