「トヨタ」が思い描く未来の自動車とは?…実現に向けての“3フェーズ”

「トヨタ」が思い描く未来の自動車とは?…実現に向けての“3フェーズ”
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本を代表するDX先進企業は、どこも「立ち上げ」「計画」「推進」というDX推進での3フェーズが高い水準にあると、DXコンサルタントである株式会社日淺の日淺光博代表はいいます。この理解を深めるために紹介したいのが、「トヨタ」の事例です。みていきましょう。

1.立ち上げフェーズ

コンセプト――ビジョンと価値基準となるメッセージを伝える

2019年12月「モビリティカンパニーへのフルモデルチェンジに向けて」と題して発表された豊田章男社長のメッセージの冒頭で

 

「これまでトヨタは自動車産業という、確立されたビジネスモデルのなかで成長を続けてきました。しかし、いま(中略)クルマの概念そのものが変わろうとしています。そしてクルマの概念が変われば、 私たちのビジネスモデルも変えていかなければなりません」と伝えました。

 

続いて、どう変わるかを具体的に提示しています。

 

「これまでの発想を転換し、より幅広く、よりオープンに、よりよい社会への貢献を追求することが、新しいビジネスモデルに繋がるのではないか、との考えに至りました。これから先は人々の暮らしを支えるすべてのモノ、サービスが情報で繋がり、クルマを含めた町全体、社会全体という大きな視野で考えること、すなわち“コネクティッド・シティ”という発想が必要となります」と。

 

ここで“コネクティッド・シティ”というキーワードを提示し、変革に向けたコンセプトを明確にしました。過去の延長としての自動車産業ではなく、地域や街を巻き込みパートナーシップを広げていくことで、新しいチャレンジをしていくと表明しています。

 

さらに新しいコンセプトを実現する方法として 「モノづくりは人づくりから」というフレーズで人材育成にも力を入れていくと宣言。トヨタの社員は、この変化に自分たちが関わることにインセンティブを感じられます。

 

そして「私たちの未来にご期待いただくとともに、引き続き皆様方のご支援をお願いいたします」と締めくくりました。このメッセージで今後トヨタが、どちらに進み、そのために何を大切にするのかが明確にされました。

 

次ページ2.計画フェーズ

※本連載は、日淺光博氏の著書『難しい話はもういいんでDXがうまくいく方法だけ教えてください』(サンマーク出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

難しい話はもういいんで DXがうまくいく方法だけ教えてください

難しい話はもういいんで DXがうまくいく方法だけ教えてください

日淺 光博

サンマーク出版

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