健康寿命と平均寿命の乖離は調査に問題がある
■〝本当〞の健康寿命を延ばす方法
2020年の日本人の平均寿命は、女性が87.74歳、男性が81.64歳となり、男性も80歳を超えていて、過去最高を更新し続けています。
2021年12月のニュースで、日本人の健康寿命も延びたという報道がありました。
健康寿命とは、病気もせずに健康で暮らしている状態のことです。
その健康寿命は、男性は72.68歳、女性は75.37歳でした。
生命の寿命よりだいぶ下まわることになります。これは現実とは乖離しているように思われます。70代の多くの方は健康に生活しているはずです。
この乖離が生まれるのは、調査方法に原因があります。
調査質問の「あなたは、現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」に「はい」と答えた人が不健康な人、「ない」と答えた人が健康な人と計算されてしまうからです。
「健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」という漠然とした質問を70代、80代に投げかけたら、みなさんなんらかの思い当たることを考え出すでしょう。
「腰が痛い」「肩こりがひどい」「前より体力がなくなった」「物忘れはするし、ボケてきた」
昔と比べれば、日常生活に影響することは多少はあると思います。それでも自分なりに生活して、腰も痛くなったりよくなったり、ボケても「ボケたな」と笑っていたりと、実際の健康寿命はもっと長いはずです。
ただ、本当の寿命が来るまでみなさんが健康であるとは限りません。病気や怪我など予期せぬこともありますし、それがきっかけで寝たきりになって本当に動けなくなることもあります。
仕方ないことはあるわけですが、健康寿命は延ばしたいと思うのが人間です。老衰で死ぬのは100歳ぐらいにしたいわけです。そのためにも、自分の身体をいたわりつつ動かし、痩せないようにしましょう。
「健康上の問題で日常生活に影響がありますが、それで何か問題がありますか?」
という姿勢で自分らしく生活していただきたいのです。よく食べ、動いて笑う。おおらかに生きていってほしいと思います。それが健康であるということです。
和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長
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