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海外不動産投資は、2020年税制改正により、個人にとっての節税メリットが失われました。法人であれば、引き続き節税効果が期待できます。本記事では、海外不動産投資で発生する税金と、法人の節税メリットと注意すべき点について解説します。

海外で不動産投資を検討する場合には、日本と海外の投資先の税制をきちんと把握する必要があります。また、日本の税制については、2020年の税制改正により、個人にとっての節税メリットは失われ、法人のみが節税メリットを享受できるようになっています。

 

本記事では、海外不動産投資で発生する税金と、法人の節税メリットと注意すべき点について解説します。また、節税対策しやすい国についても触れますので、ぜひ参考にしてください。

目次
1. まずは海外不動産投資で発生する税金を把握しよう
2. 海外不動産投資の節税効果を得られる理由
2.1. 節税効果があるのは法人のみ
2.2. 短期間で多額の減価償却費の計上が可能である
2.3. 法人税の「繰り延べ」を利用して納税のタイミングを調整できる
3. 二重課税に要注意
4. 法人が節税対策をしやすい国・しにくい国はどこか?
4.1. 節税をしやすいのは「アメリカ合衆国」
4.2.「東南アジア」は節税に適していない
まとめ

1. まずは海外不動産投資で発生する税金を把握しよう

まずは海外不動産投資で発生する税金を把握しよう
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

海外不動産投資で税金がかかるのは、海外不動産取得時・保有時・譲渡時です。一部例外はあるものの、不動産取得時には日本でいう不動産取得税や登録免許税がかかり、保有時には固定資産税や所得税(法人であれば法人税)が課税されます。

 

また、譲渡した場合、譲渡益に対しては、基本的には日本国内での不動産投資と同じように課税されます。場合によっては付加価値税もかかります。海外不動産投資だからといって、税金がかからないということはありませんので、確定申告が必要です。

2. 海外不動産投資の節税効果を得られる理由

海外不動産投資の節税効果の仕組み
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2.1. 節税効果があるのは法人のみ

まず、前提として、海外不動産投資で節税メリットがあるのは法人のみです。法人であれば「減価償却」のメリットを受けられ、節税になります。

 

かつては個人も「減価償却」のメリットを享受できましたが、2020年の税制改正により、「国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例」が制定されました。

 

この特例により、海外の中古建物の減価償却費に相当する金額は生じなかったとみなされることになりました。したがって、現在は法人のみが減価償却のメリットを享受できます。

 

なお、個人にとって海外不動産の節税メリットはなくなりましたが、インカムゲインを得られるメリットは、法人、個人問わず依然として存在します。

 

すなわち、日本では新築や築浅物件に人気があり、築年数が経った賃貸物件は賃料を下げて入居者を募集する傾向があります。

 

一方、アメリカなどでは新築物件の流通量が少ないこともあり、中古物件が多く流通しています。また、中古物件であっても、それほど人気が下がりません。

 

保有期間が長くなったとしても空室リスクが少なく、利回りが下がらないのであれば、インカムゲイン(賃料収入)を期待して保有するという考え方もできます。賃貸収入が安定している物件であれば、売却時も比較的スムーズに買い手がつくでしょう。

 

ただし、個人が海外不動産投資のメリットを受けるためだけに「法人化」をするのはおすすめできません。法人化には費用もかかりますし、思うように収益が上がらないリスクも皆無ではないからです。

 

法人化を検討するのであれば、あくまでも、他の節税メリットや、規模の拡大や対外的な信用度等も考慮して判断することをおすすめします。

 

2.2. 短期間で多額の減価償却費の計上が可能である

減価償却費とは、経年による建物の価値の減少を経費として計上することです。減価償却費を短い年数で計上できれば経費が大きくなるため、大きな節税効果となります。

 

そして、建物が築古であれば、減価償却期間が短くなります。

 

たとえば、築22年を経過した木造の住宅を購入した場合、償却期間は4年となるため、短期間で多額の減価償却費を計上することが可能になります。

 

購入価格が1億円で、うち建物価格が8,000万円であれば、購入した年の決算時から4年間、毎年2,000万円の利益を圧縮することができます。

 

なお、減価償却が終わった物件は、高値で売却できる可能性があります。

 

すなわち、日本では新築や築浅物件が好まれる傾向があり、築年数が経った建物は価値が低くなるケースが多いです。しかし、アメリカではリフォームなどしながら住むことによって、住宅の寿命を伸ばすという考え方があります。そのため、築年数が22年以上経った住宅も一定の価値が認められています。

 

したがって、法人が不動産投資を行うと、減価償却を短期で終えることができ、かつ、高値で物件を売却できる可能性があるというメリットがあるのです。

 

2.3. 法人税の「繰り延べ」を利用して納税のタイミングを調整できる

さらに、物件を同額程度以上の物件に買い替える場合、売却益を最長で10年間繰り越せます。

 

つまり、減価償却費の計上によって法人税を軽減し、買い替えにより納税するタイミングをコントロールすることが可能です。法人の利益が上がる年や、下がる年を把握することができれば、戦略的に節税することができるといえます。

3. 二重課税に要注意

法人として海外不動産投資前に知っておきたいこと
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海外不動産投資は、日本と海外の両方で納税申告をする必要があります。国によって税制は異なりますが、外国人であっても基本的には不動産投資で得た利益に対して課税されます。

 

したがって、自国だけでなく、海外不動産投資先の国でも納税する必要があるので、注意が必要です。申告を怠ると追徴課税の対象となりますので、必ず申告をしましょう。

 

ただし、「外国税額控除」という制度があります。海外で納付した一定の税額を、日本で支払うべき税金より控除できるという制度です

 

たとえば、日本で算出した納税額が100万円のとき、海外ですでに20万円を納税している場合、100万円-20万円=80万円が日本で納付すべき税額となります。しかし、自動で控除されるわけではありません。日本で納税申告をする際に「外国税額控除明細書」を作成する必要があります。

4. 法人が節税対策をしやすい国・しにくい国はどこか?

法人が節税対策をしやすい国・しにくい国はどこか?
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

国ごとに税制や市場が異なるため、法人が節税対策をしやすい国と、しにくい国があるのは確かです。本項では、「節税しやすい国」と「節税しにくい国」について説明します。

 

4.1. 節税をしやすいのは「アメリカ合衆国」

節税しやすい国をあげると、アメリカ合衆国です。

 

前述した通り、不動産投資による節税を考える場合、建物の減価償却費が短期間に多く計上できる築22年超の木造住宅が最適だといえます。

 

日本では築22年の木造住宅は資産価値が高いとはいえません。しかし、アメリカでは建物をメンテナンスしながら住む文化があるため、建物の状態がよい物件が多いです。日本と同じ22年超であっても資産価値は低くありません。

 

また、アメリカでは新築物件の流通量は少なく、中古物件が多く流通しています。中古物件であることはマイナスポイントにはならず、程度のよい物件を探しやすい市場であることもメリットの一つといえます。

 

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

 

 

4.2.「東南アジア」は節税に適していない

東南アジアでは外国人が土地を取得することができない国が多いため、日本人が購入できるのは必然的に新築のコンドミニアムになるでしょう。

 

コンドミニアムは鉄筋コンクリート造であるため、建物のなかでは減価償却費は最も少なくなります。節税という面で考慮すると、東南アジアは向いていません

 

物件価格が比較的安いことや、物件価格の上昇率などをメリットとして総合的に判断する場合は、また違った選択になるでしょう。

 

国ごとに特徴がありますので、詳しくは、以下の各記事をご覧ください。

 

 

まとめ

【2022年海外不動産投資】税制改正で節税効果は変わる? まとめ
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2020年の税制改正によって、海外不動産投資は個人投資家にとって節税効果は薄れました。海外不動産の減価償却費の損益通算ができなくなったからです。

 

しかし、法人にとっては、短期間で大きな減価償却費を計上でき、かつ、国内での事業により生じた利益から差し引けるメリット、同額以上の物件に買い替える場合に売却益を10年まで繰り越せるメリットなどがあります。

 

節税に適した国とそうでない国がありますので、ご自身にあった不動産投資先を選ぶことも重要といえます。ぜひ、多くの情報を得たうえで海外不動産投資をご検討ください。

 

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