経済大国であるアメリカは現在も人口は増加傾向にあり、不動産投資先として魅力ある国の一つです。また新興国に比べて法規制がされている分、安心できるという側面もあります。
本記事では、アメリカの不動産に投資するうえでのメリット・デメリットをはじめ、失敗しないためのコツや実際の購入方法などもご紹介します。税金対策や米国リートについても解説しますので、参考にしてください。
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1. アメリカ不動産投資に取り組むメリットを解説
まずはアメリカ不動産投資におけるメリットについて解説します。代表的なポイントは以下の4つです。
- 経済成長・人口増加に期待できる
- 融資に積極的な国内金融機関が多い
- 外国人に対する規制がない
- 加速度償却を有効活用できる
1.1. 経済成長・人口増加に期待できる
2021年アメリカの実質GDP成長率は前年比5.7%でした。これは1984年の7.2%増以来の高成長です。パンデミックの最中の経済成長としては、かなり良好な状態といえます。
ワクチンの追加接種も順調で、コロナ感染拡大リスクも抑制できる見通しです。2022年以降も同水準とまではいかなくても、安定した成長率が見込まれます。
2021年8月に米国国勢調査局により発表されたアメリカの総人口は3億3,144万9,281人(2020年4月時点)であり、2010年よりも2270万人強増加しています。
割合でいうと7.4%の増加であり、以前と比べると鈍化しているものの、人口は右肩上がりの増加傾向にあります。人口減少に歯止めのかからない日本と比べると展望が明るいといえます。
1.2. 融資に積極的な国内金融機関が多い
海外不動産投資が難しいといわれる理由のひとつに、融資する日本国内の金融機関が数少ないことが挙げられますが、アメリカは経済が安定しており、不動産担保評価も比較的しやすいことから、アメリカ不動産投資に積極的に融資する金融機関は多いといえます。
代表的な金融機関は以下の通りです。詳細は各金融機関にご相談ください。
- オリックス銀行:不動産担保ローン
- 東京スター銀行:ハワイ不動産担保ローン
- SMBC信託銀行:プレスティア不動産アドバンテージローン
- 香川銀行:有担保フリーローン海外投資用不動産
1.3. 外国人に対する規制がない
東南アジアの一部では、外国人が不動産を所有する場合一定の規制がかかります。たとえばマレーシアでは州政府の許認可が必要となり、最低価格なども決まっています。一方アメリカでは外国人が不動産を所有することに対して規制がありません。
多種多様な民族が暮らしているアメリカでは、外国人が参入することに寛容であるといえます。不動産投資においても他国に比べハードルは低いといえます。
1.4. 加速度償却を有効活用できる
加速度償却は日本の法人税制を活用した場合に有効なものであり、日本の投資家が法人を通じて米国内で投資を行った場合のみに有効となりますので、ご注意ください。
加速度償却とは、法定耐用年数を超えた物件を購入した場合、償却期間は「法定耐用年数×0.2(小数点切り上げ)」年となるという制度です。法定耐用年数である22年よりもかなり短い期間で償却できることが魅力です。投資家にとっては手元に早期に資金を多く残せることはメリットになります。
日本と比べると、アメリカの不動産は建物の評価割合が高いため、減価償却費をより多く計上できるメリットがあります。またアメリカでは中古物件の需要が高く、状態のよい物件が多いこともあり、不動産選びに困ることもないでしょう。
2. アメリカ不動産投資のリスク・デメリットは?
一方、アメリカの不動産投資のリスク・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか? 代表的な3つのリスク・デメリットは以下の通りです。
- 税制改正によって減価償却による節税対策がしにくい
- 物件価格や経費によっては利回りが低い
- 時差屋言葉の面で不安が残る
2.1. 税制改正によって減価償却による節税対策がしにくい
海外不動産投資は大きな節税効果があるといわれ、魅力的な投資として注目されてきましたが、2020年の税制改正により海外の中古不動産の減価償却費と日本国内における所得とを損益通算することができなくなりました。
つまり国外の中古建物の減価償却費相当額の損失は生じなかったと見なされることになり、以前のような減価償却による節税効果はなくなりました。これはアメリカに限らず海外での不動産投資に共通するデメリットです。
2.2. 物件価格や経費によっては利回りが低い
アメリカは新興国に比べて物件価格が高く、エリアによっては日本よりも高い場合もあります。しかし賃料についてはそれほど差がないため、物件価格に対する利回りはそれほど高くありません。
また現地の管理会社へ物件の管理を依頼したり、インスペクション(建物状況調査・住宅診断)を利用したりする必要性があることを考慮すると、日本国内よりも経費がかかると想定したほうがよいでしょう。海外不動産投資特有の経費も含めて利回りの計算をする必要があります。
2.3. 時差や言葉の面で不安が残る
アメリカと日本にはご存じの通り時差があります。現地の人と連絡を取る際、時差を考慮しなければなりません。
このことから多くの場合メールでのやり取りが多くなりますが、何度かキャッチボールをしなければならない場合、問題解決まで非常に時間がかかることが予想されます。
また、そのメールにしても余程語学が堪能でない限り、上手くコミュニケーションをとることは難しいでしょう。法律的な問題であればなおさらです。現地日本人エージェントなどに仲介してもらうことおすすめします。
3. アメリカ不動産投資に失敗しないためのコツを紹介
アメリカ不動産投資のメリットとデメリットを踏まえて、失敗しないためのコツについて解説していきます。
3.1. 場所選びは学区を意識したうえで慎重に
アメリカでは日本以上に学区が重要です。公立学校であってもランク付けが明確なため、富裕層は特に住居選びをする際には学区を重視します。
ランクの高い学校のあるエリアは人気があるため、資産価値が上がる可能性があります。一方人気のない学区は高い家賃を設定できない可能性があるため、注意が必要です。学区については必ず確認してください。
3.2. 犯罪発生率の低い土地を選ぶ
銃社会であるアメリカでは日本と比べて犯罪の発生率が高く、地域にもよりますが日本の約3倍ともいわれています。犯罪発生率が高い地域は家賃を高く設定できないだけでなく、需要が下がる可能性もあります。資産価値に直結する問題です。
たとえば同じ州でもエリアによって、治安の良し悪しは異なります。イメージだけでなく実際の犯罪発生率を調査することをおすすめします。
3.3. 物件価値に対する考えは日本と違うことを理解する
日本とアメリカでは文化や慣習が異なります。日本では新築のほうが人気があり、評価も高くなりますが、アメリカでは築年数はさほど重要ではありません。手入れの行き届いた中古物件のほうが多く流通していることもあり、人気もあります。
アメリカではマスタールーム(バスルームがついた寝室)がある物件が人気であったり、大きなガレージが欠かせないと考える人が多いのが特徴といえます。ご自身の価値観で判断せず、現地のエージェントなどに相談しましょう。
3.4. タイトルカンパニーを利用する
タイトルカンパニーとは不動産売買の際に所有権移転を代行する、日本でいうと司法書士のような存在です。売買代金の入金を確認後、買主には物権占有権を引き渡し、売主には代金を送金するという一連の流れを円滑に、且つ安全に進めることができるよう仲介します。
名義書換えや抵当権登記、権利瑕疵保険の発行なども行います。タイトルカンパニーが間に入ることにより、売主と買主が安心して取引することができます。
3.5. ETF(投資信託)の利用も視野に入れる
米国ETFとはアメリカの証券取引所に上場している投資信託のことです。個別に銘柄を選ぶ必要がないため、比較的知識が浅い初心者にも投資しやすいといえます。投資に不安がある方はETFも検討しましょう。
1口から購入可能なため、分散投資することができる点がメリットです。一方デメリットとしては信託報酬がかかることと、日本国内のETFに比べて情報を入手することの難しさが挙げられます。また高利回りのETFはリスクも高いので注意が必要です。
4. アメリカ不動産投資を始めるには
アメリカへ不動産投資をする場合、どのように不動産を購入したらよいのでしょうか?
まずは言語の問題があります。たとえ英語が堪能だとしても、法律的な書面を理解することは難しいでしょう。また日本とは慣習やルールが異なります。
そのため、アメリカの不動産投資に強い不動産会社に相談することをおすすめします。
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5. アメリカの不動産投資に強い会社3選
日本国内の不動産会社すべてが、アメリカの不動産を仲介できるわけではありません。アメリカの不動産投資に強い会社を3社ご紹介します。簡単に特徴もご紹介しますので、参考にしてください。
- オープンハウス
- リダック
- クルーズハウジングコーポレーション
5.1. オープンハウス
オープンハウスはテキサスやジョージア、ロサンゼルスに注目し、日本人スタッフが実際に現地に足を運び物件の仕入・供給を行っています。また最近ではリゾート地として人気のあるハワイの物件紹介も可能になりました。
日本人スタッフが管理物件の報告やコンサルティングを行います。「現地の人も欲しくなる物件を」がモットーです。
5.2. リダック
リダックはニューヨークにオフィスを構え、多くの優良企業を顧客として抱えている、ニューヨークで物件を探している場合は、まず相談していただきたい企業です。
購入後の管理や売却にも力を入れており、税務申告の相談にも丁寧に対応するため安心できるでしょう。もちろんすべてのサービスは日本語で行います。
5.3. クルーズハウジングコーポレーション
クルーズハウジングコーポレーションは、トヨタ自動車や三菱重工などが進出しているテキサス州をターゲットにしています。
テキサス州の一戸建てには伝統的な建築様式のものが多く、資産価値が高いことも注目する一因であり、不動産価格の上昇が見込めるとの見方をしています。日本人によるブログなども大変参考になります。
6. アメリカ不動産投資をする場合の税金対策は?
米国内で不動産投資による収入を得た場合、日本国内に住んでいたとしても納税義務が発生します。ここではアメリカで不動産投資をする場合に知っておきたい、税金のルールについて解説します。
6.1. アメリカの不動産を保有する人全員に納税義務がある
アメリカで不動産投資を行い収入を得た場合は、米国に在住していなくても不動産保有者には納税義務があります。アメリカには連邦税・州税・市税(地域によって)が存在します。
たとえばテキサス州やフロリダ州には所得税がありませんが、カリフォルニア州には所得税があり、ニューヨークシティには市独自の税金があります。法人税や消費税も州によって異なりますので、事前に不動産会社等へ相談をしておくことをおすすめします。
6.2. 不動産収入によって発生する税金の計算方法
前述の通り州によって税制は異なりますので、ここでは連邦税について解説します。
個人投資家が不動産収入を得た場合、家賃収入から管理費や減価償却費などの経費を控除し、不動産所得を算出します。その所得と給与所得を通算し総合所得を計算し、各種の控除を加味したうえで課税所得を算出します。
その所得に応じた累進課税(10%~37%)により税額が決定します。一方法人の場合は、不動産収入から管理費などの経費を控除した利益に対し21%の法人税がかかります。
6.3. アメリカに住んでいない場合は特例も
アメリカで不動産を保有もしくは売却するときには、一定の源泉徴収が課せられます。
必要経費を控除した不動産所得に対して納税することを選択し、確定申告する必要がありますが、確定申告で算出された税額と既に徴収された税金を比較し、払い過ぎた場合は還付をうけることができます。
州ごとに税制が異なるため、詳細については不動産会社やエージェントにご相談ください。
7. 今後のアメリカ不動産投資はどうなる?米国リートについても解説
今後も人口が増加傾向にあるアメリカでは、経済も成長することが見込まれます。魅力ある不動産投資先のひとつといえます。米国のリート市場は2021年に大きく上昇しましたが、2021年4月以降大きく下落となりました。
要因としては米国の金利の上昇や新型コロナウィルス感染者の増加が考えられます。今後も情勢を見極め、十分注意する必要がありますが、米国リートの魅力が大きく損なわれるとの見方は少数派なため、今後徐々に回復に向かうと見られています。
8. アメリカ不動産投資はブログでの情報収集も可能
アメリカに在住する投資家や、不動産会社のスタッフなどのブログから情報収集するのもひとつの手です。その人の主観にはなりますが、肌で感じる経済情勢や現地に在住しているからこそ知りえる事柄を知ることができます。
もちろん内容がすべて正確なものとはいい切れません。最終的にはご自身で有益な情報なのかご判断ください。
9. まとめ
アメリカ経済の成長と人口増加は、不動産投資を考えた場合に非常に魅力的な状況です。日本国内では得られない利益を生む可能性があります。しかし言語の問題や、情報の入手が困難であることを考慮しなければなりません。また税金についても熟知する必要があります。
もしアメリカ不動産投資を検討する場合は情報収集に努め、信頼できる不動産会社やエージェントへご相談ください。不動産投資セミナーなどの活用もおすすめします。
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