許容できる独裁…「代わりとなる人材もいない」
2000年にプーチンが大統領に就任して以降も、ロシアにはそこそこの言論・表現の自由があった。プーチンが設定した「ゲームのルール」──すなわち「経済人は政治に嘴を差し挟まず、金儲けに専心し、税金をきちんと納める」という原則さえ守れば、経済活動も自由にできた。
「そもそも良い人は政治家にならない。プーチンは悪い政治家である。しかし、うんと悪い政治家、とんでもない政治家ではない。まあ、この程度の独裁者ならば許容できるだろう」
これがロシア大衆の平均的感覚なのだ。
普通のロシア人とプーチンについて議論すると、
「昔のような熱い支持はないよ。もう飽きた。しかし、プーチンの代わりに大統領を務めることができる人もいない。メドヴェージェフの小僧が大統領をやったが、力量不足だ。あいつは、ツイッターで軽々に発信する。それに英語でちゃらちゃら話をするあたりが軽い。プーチンのような恐さがなければ、ロシアで大統領は務まらない」
という返事が返ってくる。プーチンをぼろくそに非難するのは、親欧米的な世界観をもった一部の知識人とジャーナリストしかいなかった。
佐藤 優
作家・元外務省主任分析官・同志社大学神学部客員教授
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